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会社の税金 - 分割➂


2015/4/1  菊 池 芳 平


 法人税法が定める要件を満たさない非適格の分割の場合の税務処理は時価課税となるのですが、この場合の具体的な取り扱いは以下のようになります。
 

非適格分割型分割の取扱い
分割法人の資産負債の時価譲渡による所得計算
 内国法人が分割により分割承継法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは、分割承継法人に移転をした資産及び負債の分割の時の価額による譲渡をしたものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算することになっています。(法62①)
 この場合に分割法人が取得した分割承継法人の株式等の分割対価資産は時価により取得したものとされます。(令119①二十六他)

分割承継法人の資産負債の時価取得
 非適格分割により分割法人から分割承継法人に移転した資産及び負債の分割承継法人の取得価格は移転した時の価額となります。(令32①三、54①六他)

非適格分割により移転を受ける資産負債に係る資産調整勘定
 1.内国法人が非適格分割に係る分割法人から資産又は負債の移転を受けた場合に、非適格分割対価額(注1)がその移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額(注2)を超えるときは、その超える部分の金額は、資産調整勘定の金額とされます。(法62の8①)
(注1)非適格分割により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
(注2)その資産(営業権にあつては、営業権のうち独立した資産として取引される慣習のあるものに限ります。)の取得価額の合計額からその負債の額の合計額を控除した金額をいいます。


 2.この資産調整勘定は当初計上額を60で除して計算した金額にその事業年度の月数を乗じて計算した金額に相当する金額を、その事業年度において減額し、その減額すべきこととなつた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することになっています。(法62の8④⑤)


非適格分割により移転を受ける資産負債に係る負債調整勘定
 1.分割法人から資産又は負債の移転を受けた場合においては、退職給与債務引受額及び短期重要債務見込額は、それぞれの金額が負債調整勘定の金額となります。(法62の8②、法令123の10⑦⑧))

 2.非適格分割に係る分割法人から資産又は負債の移転を受けた場合において、その非適格分割に係る非適格分割対価額がその被合併法人等から移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額に満たないときは、その満たない部分の金額は、負債調整勘定の金額となります。(法令123の10③)

 3.負債調整勘定の金額を有する内国法人は、次に掲げる場合に該当する場合には、その負債調整勘定の金額につき、その該当することとなつた日の属する事業年度(その該当することとなつた日が自己を被合併法人とする合併の日である場合には、その合併の日の前日の属する事業年度)においてそれぞれに定める金額を減額しなければならないことになっています。(法62の8⑥)

一 退職給与引受従業者が退職その他の事由によりその内国法人の従業者でなくなつた場合又は退職給与引受従業者に対して退職給与を支給する場合 
 退職給与負債調整勘定の金額のうちこれらの退職給与引受従業者に係る部分の金額

二 短期重要債務見込額に係る損失が生じ、若しくは非適格合併等の日から3年が経過した場合又は自己を被合併法人とする合併(適格合併を除きます。)を行う場合若しくはその残余財産が確定した場合
 短期重要負債調整勘定の金額のうちその損失の額に相当する金額(その3年が経過した場合又はその合併を行う場合若しくはその残余財産が確定した場合にあつては、その短期重要負債調整勘定の金額)

 4.この負債調整勘定の金額(差額負債調整勘定)は、当初計上額を60で除して計算した金額にその事業年度の月数を乗じて計算した金額に相当する金額を、その事業年度において減額し、その減額すべきこととなつた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することとされています。(法62の8⑦、法令123の10⑦)
 

 内国法人が自己を分割法人とする適格分割を行つた場合には、その定められた資産調整勘定の金額及び負債調整勘定の金額は、その適格分割に係る分割承継法人に引き継ぐものとされ、分割法人が引き継ぎを受けたこれらの金額は、分割法人が適格分割の時において有するものとみなされます。(法62の8⑨⑩)

株主等の取り扱い
  配当等とみなす金額
 法人の株主等である内国法人がその法人の非適格分割により受けた金銭その他の資産の価額の合計額がその法人の資本金等の額のうちその交付の基因となつたその法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額は、剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配とみなされます。(法24①一)
 この場合、分割法人は各株主等に、交付の基因となった事由とその事由の生じた日及び一株当たりのみなし配当金額を通知しなければならないこととなっています。(法令23④)

 譲渡損益の取扱い
 ① 内国法人が、旧株を発行した法人の行った分割型分割によりその分割承継法人の株式その他の資産の交付を受けた場合は、当該旧株のうち移転した資産負債に対応する部分の譲渡があったものみなして譲渡損益の計算が行われるのですが、株式以外の資産が交付されなかつた場合は、譲渡対価の額と譲渡原価の額はいずれもその旧株の分割型分割の直前の分割純資産対応帳簿価額とされていますので譲渡損益は生じないことになっています。(譲渡損益が生じない場合の分割承継法人株式又は親法人株式の取得価額は分割純資産対応帳簿価額相当額となります。)(法61の2④、令119①六)

 ② 分割型分割の対価として金銭等が交付された場合(金銭等不交付分割型分割に該当しない場合をいいます。)は、その分割法人株式を時価で譲渡したものとして譲渡損益の計算を行います。(譲渡対価の額は時価からみなし配当の金額を控除した金額、譲渡原価の額は分割純資産対応帳簿価額となります。一方、取得株式の取得価額は時価となります。)(法61の2①④、令119の8①②、119①二十六)


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