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会社の税金-合併①


2014/11/1  菊 池 芳 平

はじめに
 2以上の会社が契約によって1つの会社になる合併は、事業の成長や展開の効率化、子会社の整理統合、業績不振会社の救済等を目的として行われます。

 
法人税法は合併を適格要件に該当する適格合併とそれ以外の非適格合併とに分けて課税関係を規定しています。
 適格合併は、合併により移転した資産負債について帳簿価額による引継ぎをしたものとして課税が繰延べられますが、非適格合併ではその移転した資産負債は時価による譲渡をしたものとしてその譲渡損益を益金の額又は損金の額に算入することとしています。
(法62①、62の2①)

適格合併の要件
 
 適格合併とは、次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式又は出資以外の資産が交付されないものをいいます。(法2①十二の八)
イ 完全支配関係がある合併(注1)
ロ 支配関係がある合併で、次の全ての要件に該当するもの(注2)
    ①おおむね80%以上の従業者が合併後も業務に従事すること
    ②主要な事業が合併後も継続して営まれること
ハ 共同で事業を営む場合の合併(注3)

※  株式又は出資以外の資産が交付されないものとは、被合併法人の株主等に合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式又は出資以外の資産が交付されないものをいいます。

※ 株式又は出資以外の資産には、剰余金の配当等(株式又は出資に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配)として交付される金銭その他の資産及び合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産は除かれます。

※ 合併親法人株式とは、合併の直前に当該合併に係る合併法人と当該合併法人以外の法人との間に当該法人による直接完全支配関係があり、かつ、当該合併後に当該合併法人と当該法人(親法人)との間に当該親法人による直接完全支配関係が継続することが見込まれている場合における当該親法人の株式又は出資をいいます。(法令4の3①) 

 上記のとおり、適格合併はイ、完全支配関係の合併、ロ、支配関係の合併、ハ、共同で事業を営む場合の合併のいずれの場合も金銭等不交付が要件ですが、この金銭等不交付は適格分割、適格現物出資、適格株式交換、適格株式移転においても同様の要件となっています。


(注1)完全支配関係の合併
 完全支配関係の合併とは、具体的には次のいずれかの関係をいいます。(法令4の3②)
一 合併に係る被合併法人と合併法人(新設合併にあつては、その被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による完全支配関係がある場合におけるその合併
 この場合、無対価合併にあつては、合併法人が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係に限ります。
※ 無対価合併とは被合併法人の株主等に合併法人の株式その他の資産が交付されない合併をいいます。

二 合併前にその合併に係る被合併法人と合併法人との間に同一の者による完全支配関係があり、かつ、その合併後にその同一の者とその合併に係る合併法人との間にその同一の者による完全支配関係が継続することが見込まれている場合におけるその合併
 その合併が無対価合併である場合にあつては、次に掲げる関係がある場合におけるその完全支配関係に限ります。
イ 合併法人が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ロ 一の者が被合併法人及び合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ハ 合併法人及びその合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ニ 被合併法人及びその被合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係

 当該合併後にその同一の者を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合にはその合併後にその同一の者とその合併法人との間にその同一の者による完全支配関係があり、その適格合併後にその適格合併に係る合併法人とその合併に係る合併法人との間にその適格合併に係る合併法人による完全支配関係が継続することとし、その合併後にその合併に係る合併法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合にはその合併の時からその適格合併の直前の時までその同一の者とその合併法人との間にその同一の者による完全支配関係が継続する必要があります。
 
完全支配関係 (法2①十二の七の六、令4の2②)

 完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する①②の関係(以下、当事者間の完全支配の関係といいます。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいいます。

 ① 一の者が法人の発行済株式等の全部を保有する場合における当該一の者と当該法人との間の関係(直接完全支配関係)

 ② 当該一の者及びこれとの間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人又は当該一の者との間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人が他の法人の発行済株式等の全部を保有するときは、当該一の者は当該他の法人の発行済株式等の全部を保有するものとみなされます。

 ※ 一の者にはその者が個人である場合には、その者及びこれと特殊の関係のある個人を含みます。
 ※ 法人の発行済株式等は当該法人が有する自己の株式又は出資を除いた発行済株式若しくは出資をいい、発行済株式の総数のうちに従業員持株会社と役員または使用人のストックオプション行使による所有株式が5%未満のその株式を除きます。


(注2)支配関係の合併
 支配関係の合併とは、具体的には次のいずれかの関係をいいます。(法令4の3➂)
一 合併に係る被合併法人と合併法人(新設合併にあつては、その被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による支配関係がある場合におけるその支配関係
  ただし、その合併が無対価合併である場合にあつては、次に掲げる関係がある場合におけるその支配関係に限ります。
イ 合併法人及びその合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ロ 被合併法人及びその被合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係

二 合併前にその合併に係る被合併法人と合併法人との間に同一の者による支配関係があり、かつ、その合併後にその同一の者とその合併に係る合併法人との間にその同一の者による支配関係が継続することが見込まれている場合におけるその合併
 その合併が無対価合併である場合にあつては、次に掲げる関係がある場合におけるその支配関係に限ります。
イ 合併法人が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ロ 一の者が被合併法人及び合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ハ 合併法人及びその合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ニ 被合併法人及びその被合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係

 当該合併後にその同一の者を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合にはその合併後にその同一の者とその合併法人との間にその同一の者による支配関係があり、その適格合併後にその適格合併に係る合併法人とその合併に係る合併法人との間にその適格合併に係る合併法人による支配関係が継続することとし、その合併後にその合併に係る合併法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合にはその合併の時からその適格合併の直前の時までその同一の者とその合併法人との間にその同一の者による支配関係が継続する必要があります。

 支配関係 (法2①十二の七の五、令4の2①)

 支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の総数若しくは総額の100分の50を超える数若しくは金額の株式等を直接若しくは間接に保有する①②の関係(当事者間の支配の関係)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいいます。

 ① 一の者が法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有する場合における当該一の者と法人との間の関係(直接支配関係)。

 ② 当該一の者及びこれとの間に直接支配関係がある1若しくは2以上の法人又は当該一の者との間に直接支配関係がある一若しくは二以上の法人が他の法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有するときは、当該一の者は当該他の法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有するものとみなされます。

 ※ 一の者にはその者が個人である場合には、その者及びこれと特殊の関係のある個人を含みます。
 ※ 発行済株式等とは当該法人が有する自己の株式又は出資を除いた発行済株式若しくは出資をいいます。
 

(注3)共同で事業を営む場合の合併
 共同で事業を営む場合の合併とは、完全支配関係の合併又は支配関係の合併以外の合併のうち、次に掲げる要件の全てに該当するものをいいます。(法令4の3④)
 ただし、共同で事業を営む場合のその合併に係る被合併法人の株主等の数が50人以上である場合又はその合併に係る被合併法人の全て若しくは合併法人が資本若しくは出資を有しない法人である場合には、一から四までに掲げる要件に該当するものをいいます。
 無対価合併にあつては、その無対価合併に係る被合併法人の全て又は合併法人が資本又は出資を有しない法人であるものに限ります。

一 お互いの事業が相互に関連するものであること。
 合併に係る被合併法人の被合併事業とその合併に係る合併法人の合併事業とが相互に関連するものであること。

二 次の事業規模又は特定役員のいずれかの要件を満たすこと。
①事業規模
 合併に係る被合併法人の被合併事業とそれに関連する合併法人の合併事業のそれぞれの売上金額、その被合併事業と合併事業のそれぞれの従業者の数、その被合併法人と合併法人のそれぞれの資本金の額若しくは出資金の額若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないこと
②特定役員
 その合併前のその被合併法人の特定役員のいずれかとその合併法人の特定役員のいずれかとがその合併後にその合併に係る合併法人の特定役員となることが見込まれていること。
  
※ 特定役員とは社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいいます。

三 従業者の引継ぎ
 合併に係る被合併法人のその合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者がその合併後にその合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること。
 
※ その合併後にその合併法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、その相当する数の者が、その合併後にその合併法人の業務に従事し、その適格合併後にその適格合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること。

四 被合併事業の引継ぎ
 
合併に係る被合併法人の被合併事業がその合併後にその合併法人において引き続き営まれることが見込まれていること。
 ※ ただし、被合併事業は合併法人の合併事業と関連する事業に限られます。
 ※ 合併後に合併法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、被合併事業が、合併後に合併法人において営まれ、適格合併後に適格合併に係る合併法人において引き続き営まれることが見込まれていることが必要です。

五 株式の継続保有
 
①合併の直前のその合併に係る被合併法人の株主等でその合併により交付を受ける合併法人の株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式の全部を継続して保有することが見込まれる者並びに、合併法人及び他の被合併法人が有する被合併法人の株式の数を合計した数が、➂被合併法人の発行済株式等の総数の100分の80以上であること。

 ※ 交付を受ける合併法人の株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式は議決権のないものを除きます。
 ※ その合併後にその者を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合にはその合併後にその者がその株式の全部を保有し、その適格合併後にその適格合併に係る合併法人がその株式の全部を継続して保有することが見込まれるときのその者とし、その合併後にその合併に係る合併法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合にはその合併の時からその適格合併の直前の時までその株式の全部を継続して保有することが見込まれるときのその者とします。

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