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キャッシュフローを改善するには
2010/4/8 菊 池 芳 平
前回の「お金が心配なときはキャッシュフロー管理」ではキャッシュフローとは一定期間のお金の流出入とか、お金の収支、あるいはお金の流入と流出の差額といった意味で使われること、またキャッシュは現金と預金を合わせた金額といった内容のご説明をしました。そこで前回に引き続きキャッシュフローについて考えてみます。
キャッシュフローの安定化のための改善効果の期待できる項目を列挙すると、およそ次のようになります。
- 売掛金や貸付金等の早期回収、支払債務の引き延ばし
- 過大在庫や不良在庫の一掃
- 遊休未稼働の資産の売却、不要物品の非購買
- 借入やリース返済の条件変更で月々の返済を軽減する。
- 増資
- 経費削減
- 売上増加(特に新規顧客の獲得)
ありふれた項目に見えるかもしれませんが、AからEは主にストック項目、FGはフロー項目になります。Dの条件変更は経営改善が前提となることにご注意下さい。企業によっては上記以外にも改善効果の期待できるものがあるかと思います。
資金繰りが苦しくなると金融機関に借入を申し込むことが多いわけですが、なによりも経常収支比率(注)の改善を図ることが一番です。つまり1ヶ月とか1年といった期間の経常収入(入金)が経常支出(支払)より多くなくてはいけないわけですが、そうでない場合は事業を根本から見直さなければいけない状況にあるといえます。
この収支均衡という企業にとってあたりまえとも言うべきことが、近年あたりまえになっていない状況が多く見受けられます。
特別の経営計画もなく恒常的に毎期あるいは毎月預金が減少したり、借入金が増加している場合は経営の赤信号です。いますぐ経営にとってムダ・ムラ・ムリと思われるものを決算書や試算表等から探してチェックして下さい。この場合、会計帳簿特に総勘定元帳が非常に参考になります。
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれでこの支出は経営にとって絶対必要なものか、経営資源として必要かを精査し、リストアップし、改善対策を立てることです。
優先順位としては、Gの売上げ向上策よりAからFまでの資金安定化策を優先させます。
売上げ向上は現在の厳しい経済環境下ではすぐに成果が期待できないことが多く、成果が出る前に資金が枯渇してしまうこともありえます。そこで資金繰り安定策をすべてに優先させるのです。
企業の経常収支比率の改善は、最低100%以上にすること、すなわち経常収入(入金)が経常支出(支払)より多い状態にもっていきます。
資金繰りが安定したなら、本格的に収益向上策の検討と実行に入ります。これには即効性のある短期的なものと、市場環境を見据えた中長期的なものがあります。市場は目まぐるしく変動していますので昨日の安定は今日の安定にあらず。 自社にとって有利な競争領域を探し、いまから先を見据えて戦略的に取り組むことが求められます。
(注) 経常収支比率(%)=(経常収入÷経常支出)×100
年 月 入金合計(経常収入)A 支払合計(経常支出)B 増 減 比率(%)A/B 年間計
売上向上のプランニングその1 はこちら