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相続税 - 債務控除


2017/7/1  菊 池 芳 平

 相続税は相続財産に課せられる税金ですが、被相続人が残した借入金や未払金等の債務があれば遺産総額から差し引くことができます。

債務控除をすることができる者
(1)無制限納税義務者の債務控除
 相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限ります。以下同じ。)により財産を取得した者が無制限納税義務者である場合は、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額になります。(法13@)
一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含みます。)
二 被相続人に係る葬式費用
(2)制限納税義務者の債務控除
 相続又は遺贈により財産を取得した者が制限納税義務者である場合は、当該相続又は遺贈により取得した財産で法施行地にあるものについては、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から被相続人の債務で次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額になります。(法13A)
一 その財産に係る公租公課
二 その財産を目的とする留置権、特別の先取特権、質権又は抵当権で担保される債務
三 その財産の取得、維持又は管理のために生じた債務
四 その財産に関する贈与の義務
五 被相続人が法施行地に営業所又は事業所を有していた場合は、当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の債務
※ 制限納税義務者は葬式費用の債務控除は認められていません。
 相続を放棄した者等の債務控除
 相続を放棄した者及び相続権を失った者については、原則として債務控除の適用はありません。
 しかし、その者が現実に被相続人の葬式費用を負担した場合は、当該負担額は、その者の遺贈によって取得した財産の価額から債務控除しても差し支えないことになっています。(基13-1)
※ 「その者の負担に属する部分の金額」の意義
 相続人等の間で実際に負担する債務の金額が確定していないときは民法第900条から第902条《遺言による相続分の指定》までの規定による相続分又は包括遺贈の割合に応じて負担する金額を計算します。
 ただし、これによる負担金額が相続又は遺贈により取得した財産の価額を超えることとなる場合において、その超える部分の金額を他の共同相続人又は包括受遺者の相続税の課税価格の計算上控除することとして申告することが認められています。(基13-3)

控除すべき債務
@ 控除される債務は相続開始の際に現に存するもので、確実と認められるものに限られます。(法14@、基14-4)
A 控除すべき公租公課の金額は、被相続人の死亡の際債務の確定しているもののほか、被相続人の死亡後相続税の納税義務者が納付し、又は徴収されることとなつた被相続人に係る所得税、相続税、贈与税、地価税、再評価税、登録免許税、自動車重量税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、航空機燃料税、石油石炭税及び印紙税等の税額が含まれます。
 ただし、相続人の責めに帰すべき事由により納付し、又は徴収されることとなつた延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額及び地方税法の規定による督促手数料、延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金及び滞納処分費の額は含まれません。(令3@)

葬式費用に該当するもの
 葬式費用として控除する金額は、次に掲げる金額の範囲のものとされています。(基13-4)
(1) 葬式若しくは葬送に際し、又はこれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は遺がい若しくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを行うものにあっては、その両者の費用)
(2) 葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用
(3) (1)又は(2)に掲げるもののほか、葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの
(4) 死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬に要した費用

葬式費用に該当しないもの
次に掲げるような費用は、葬式費用として取り扱わないものとされています。(基13-5)
(1) 香典返戻費用
(2) 墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料
 被相続人の生存中に墓碑を買い入れ、その代金が未払であるような場合でも、当該未払代金は債務として控除できません。(基13-6)  
(3) 法会に要する費用
(4) 医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用

消滅時効の完成した債務
 相続の開始の時において、既に消滅時効の完成した債務は、確実と認められる債務に該当しないものとして取り扱うこととされています。(基14-4)

保証債務及び連帯債務
 保証債務及び連帯債務については、次のように取り扱われます。(基14-3)
(1) 保証債務
@ 保証債務については、原則として控除できません。
A ただし、主たる債務者が弁済不能の状態にあるため、保証債務者がその債務を履行しなければならない場合で、かつ、主たる債務者に求償して返還を受ける見込みがない場合には、主たる債務者が弁済不能の部分の金額は、当該保証債務者の債務として控除できます。
(2) 連帯債務
@ 連帯債務については、連帯債務者のうちで債務控除を受けようとする者の負担すべき金額が明らかとなっている場合には、当該負担金額を控除し、
A 連帯債務者のうちに弁済不能者があり、かつ、求償して弁済を受ける見込みがなく、当該弁済不能者の負担部分をも負担しなければならないと認められる場合には、その負担しなければならないと認められる部分の金額も当該債務控除を受けようとする者の負担部分として控除できます。

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