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会社の税金−現物出資A


2015/6/1  菊 池 芳 平

 適格現物出資と非適格現物出資の現物出資法人、被現物出資法人についての税務上の取り扱いは以下のとおりになります。

適格現物出資の取扱い
現物出資法人

  内国法人が適格現物出資により被現物出資法人にその有する資産の移転をし、又はこれと併せてその有する負債の移転をしたときは、当該被現物出資法人にその移転をした資産及び負債の適格現物出資の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算します。従って譲渡損益は生じないことになります(法62の4@)

被現物出資法人
 現物出資法人から移転を受けた場合の被現物出資法人の当該資産及び負債の取得価額は、その適格現物出資の直前の帳簿価額に相当する金額(その取得のために要した費用がある場合にはその費用の額を加算した金額。)となります。(法62の4A、令123の5)


 法人税法が定める要件を満たさない非適格の現物出資の場合の税務処理は時価課税となるので、この場合の具体的な取り扱いは以下のようになります。 

非適格現物出資の取扱い
現物出資法人
 内国法人が非適格の現物出資により被現物出資法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは、被現物出資法人に移転をした資産及び負債の現物出資の時の価額による譲渡をしたものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算します。(法22)
 この場合に現物出資法人が取得した被現物出資法人の株式等は、時価により取得したものとされます。(令119@二十六他)

被現物出資法人
 非適格現物出資により現物出資法人から被現物出資法人に移転した資産及び負債の被現物出資法人の取得価格は移転した時の価額となります。(令32@三、54@六他)

非適格現物出資により移転を受ける資産負債に係る資産調整勘定
 1.内国法人が非適格現物出資に係る現物出資法人から資産又は負債の移転を受けた場合に、非適格現物出資対価額(注1)がその移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額(注2)を超えるときは、その超える部分の金額は、資産調整勘定の金額とされます。(法62の8@)
(注1)非適格現物出資により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
(注2)その資産(営業権にあつては、営業権のうち独立した資産として取引される慣習のあるものに限ります。)の取得価額の合計額からその負債の額の合計額を控除した金額をいいます。


 2.この資産調整勘定は当初計上額を60で除して計算した金額にその事業年度の月数を乗じて計算した金額に相当する金額を、その事業年度において減額し、その減額すべきこととなつた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入します。(法62の8CD)


非適格現物出資により移転を受ける資産負債に係る負債調整勘定
 1.現物出資法人から資産又は負債の移転を受けた場合には、退職給与債務引受額及び短期重要債務見込額は、それぞれの金額を負債調整勘定の金額とします。(法62の8A、法令123の10FG))

 2.非適格現物出資に係る現物出資法人から資産又は負債の移転を受けた場合において、その非適格現物出資に係る非適格現物出資対価額がその現物出資法人から移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額に満たないときは、その満たない部分の金額は、負債調整勘定の金額となります。(法62の8B)

 3.負債調整勘定の金額を有する内国法人は、次に掲げる場合に該当する場合には、その負債調整勘定の金額につき、その該当することとなつた日の属する事業年度においてそれぞれに定める金額を減額しなければならないことになっています。(法62の8E)

一 退職給与引受従業者が退職その他の事由によりその内国法人の従業者でなくなつた場合又は退職給与引受従業者に対して退職給与を支給する場合 
 退職給与負債調整勘定の金額のうちこれらの退職給与引受従業者に係る部分の金額

二 短期重要債務見込額に係る損失が生じ、若しくは非適格合併等の日から3年が経過した場合又は自己を被合併法人とする合併(適格合併を除きます。)を行う場合若しくはその残余財産が確定した場合
 短期重要負債調整勘定の金額のうちその損失の額に相当する金額(その3年が経過した場合又はその合併を行う場合若しくはその残余財産が確定した場合にあつては、その短期重要負債調整勘定の金額)

 4.この負債調整勘定の金額(差額負債調整勘定)は、当初計上額を60で除して計算した金額にその事業年度の月数を乗じて計算した金額に相当する金額を、その事業年度において減額し、その減額すべきこととなつた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することとされています。(法62の8FG)
 
 5.内国法人が自己を現物出資法人とする適格現物出資を行つた場合には、その定められた資産調整勘定の金額及び負債調整勘定の金額は、その適格現物出資に係る被現物出資法人に引き継ぐものとされ、被現物出資法人が引き継ぎを受けたこれらの金額は、それぞれ当該被現物出資法人が適格現物出資の時において有するものとみなされます。(法62の8HI)



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