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会社の税金−現物出資@


2015/5/1  菊 池 芳 平



はじめに
 株式会社がその設立又は増資にあたって株式を発行したり募集しようとする場合、会社法では、金銭以外の財産を出資の目的とする現物出資を一定の要件のもとに認めています。(会社法28、199)

 法人税法では、現物出資によりその有する資産の移転を行い、又はこれと併せてその有する負債の移転を行つた法人を現物出資法人とし、現物出資により現物出資法人から資産の移転を受け、又はこれと併せて負債の移転を受けた法人を被現物出資法人と定義すると同時に、現物出資を適格現物出資と非適格現物出資に分けて課税関係を規定しています。(法2@十二の四、十二の五、十二の十四)

 適格現物出資は、移転した資産負債について帳簿価額による譲渡をしたものとして課税が繰延べられますが、非適格現物出資ではその移転した資産負債は時価による譲渡をしたものとしてその譲渡損益を益金の額又は損金の額に算入します。 (法62の4@A、法22)

適格現物出資の要件
 
適格現物出資
 適格現物出資とは、次のイ、ロ、ハのいずれかに該当する現物出資で、現物出資法人に被現物出資法人の株式のみが交付されるものをいいます。(法2@十二の十四)
 ただし、以下のものは除かれます。
 @外国法人に国内にある政令で定める資産負債の移転を行うもの
 A外国法人が内国法人に国外にある政令で定める資産又は負債の移転を行うもの
 B新株予約権付社債に付された新株予約権の行使に伴うその新株予約権付社債についての社債の給付
イ 完全支配関係が継続する現物出資(注1)
ロ 支配関係が継続しかつ、次に掲げる要件の全てに該当するもの(注2)
   @主要な資産及び負債の移転
   Aおおむね100分の80以上の従業者が引続き被現物出資法人の業務に従事
   B現物出資事業が現物出資後も継続営業
ハ 共同で事業を営むための現物出資(注3)

(注1)完全支配関係の現物出資
 完全支配関係の現物出資とは、次に掲げるいずれかの関係をいいます。(法令4の3I)
一 現物出資前にその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係(当事者間の完全支配関係)があり、かつ、その現物出資後にその現物出資法人と被現物出資法人との間に当事者間の完全支配関係が継続することが見込まれている場合におけるその現物出資法人と被現物出資法人との間の関係

二 現物出資前にその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間に同一の者による完全支配関係があり、かつ、その現物出資後にその現物出資法人と被現物出資法人との間にその同一の者による完全支配関係が継続することが見込まれている場合におけるその現物出資法人と被現物出資法人との間の関係
 
完全支配関係 (法2@十二の七の六、令4の2A)

 完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する@Aの関係(以下、当事者間の完全支配の関係といいます。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいいます。

 @ 一の者が法人の発行済株式等の全部を保有する場合におけるその一の者とその法人との間の関係(直接完全支配関係)

 A その一の者及びこれとの間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人又はその一の者との間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人が他の法人の発行済株式等の全部を保有するときは、その一の者はその他の法人の発行済株式等の全部を保有するものとみなされます。

 ※ 一の者にはその者が個人である場合には、その者及びこれと特殊の関係のある個人を含みます。
 ※ 法人の発行済株式等はその法人が有する自己の株式又は出資を除いた発行済株式若しくは出資をいい、発行済株式の総数のうちに従業員持株会所有株式と役員または使用人のストックオプション行使による所有株式の合計が5%未満のその株式を除きます。


(注2)支配関係の現物出資
 支配関係の現物出資とは、次に掲げるいずれかの関係をいいます。(法令4の3J)
一 現物出資前にその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による支配関係(当事者間の支配関係といいます。)があり、かつ、その現物出資後にその現物出資法人と被現物出資法人との間に当事者間の支配関係が継続することが見込まれている場合におけるその現物出資法人と被現物出資法人との間の関係

二 現物出資前にその現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間に同一の者による支配関係があり、かつ、その現物出資後にその現物出資法人と被現物出資法人との間にその同一の者による支配関係が継続することが見込まれている場合におけるその現物出資法人と被現物出資法人との間の関係

 支配関係 (法2@十二の七の五、令4の2@)

 支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の総数若しくは総額の100分の50を超える数若しくは金額の株式等を直接若しくは間接に保有する@Aの関係(当事者間の支配の関係)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいいます。

 @ 一の者が法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有する場合におけるその一の者と法人との間の関係(直接支配関係)。

 A その一の者及びこれとの間に直接支配関係がある1若しくは2以上の法人又はその一の者との間に直接支配関係がある一若しくは二以上の法人が他の法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有するときは、その一の者はその他の法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有するものとみなされます。

 ※ 一の者にはその者が個人である場合には、その者及びこれと特殊の関係のある個人を含みます。
 ※ 発行済株式等とはその法人が有する自己の株式又は出資を除いた発行済株式若しくは出資をいいます。
 

(注3)共同で事業を営む場合の現物出資
 共同で事業を営む場合の現物出資とは完全支配関係の現物出資又は支配関係の現物出資以外の現物出資のうち、次に掲げる要件の全てに該当するものをいいます。(法令4の3K)

一 事業関連要件
 現物出資事業と被現物出資事業とが相互に関連するものであること。

二 事業規模要件又は特定役員引継ぎ要件
 @現物出資事業と被現物出資事業のそれぞれの売上金額、従業者の数若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないこと。
 A又は現物出資前の現物出資法人の役員等のいずれかと被現物出資法人の特定役員のいずれかとが現物出資後に被現物出資法人の特定役員となることが見込まれていること。

三 主要資産・負債移転要件
 現物出資法人の現物出資事業に係る主要な資産及び負債が被現物出資法人に移転していること。

四 従業者引継ぎ要件
 現物出資の直前の現物出資事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が現物出資後に現物出資に係る被現物出資法人の業務に従事することが見込まれていること。

五 事業継続要件
 現物出資に係る現物出資法人の現物出資事業(被現物出資事業と関連する事業。)が現物出資後に被現物出資法人において引き続き営まれることが見込まれていること。

六 株式継続保有要件
 現物出資に係る現物出資法人が現物出資により交付を受ける被現物出資法人の株式の全部を継続して保有することが見込まれていること。



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