HOME   事務所概要  商品サービス  料 金  税金を調べる  路線価を調べる  金融庁  中小企業庁  経産省




会社の税金-グループ法人税制 (その2)
( 完全支配関係がある法人間の取引の損益 )



2014/10/1  菊 池 芳 平

 完全支配関係がある法人間の取引について注意すべきは、前回に取り上げた譲渡損益調整資産の譲渡損益の繰延べや戻入れのほかに、次のようの税制措置があります。

完全支配関係がある法人の受取配当等の額の全額益金不算入
 内国法人が受ける完全子法人株式等の配当等については、各事業年度の所得の金額の計算上、負債利子を控除せずにその全額が益金の額に算入しないこととされています。(法23①)

完全支配関係がある法人間の寄付金の損金不算入と受贈益の益金不算入 
 法人が各事業年度において、その法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限ります。)がある他の法人に対して支出した寄附金の額(法人税法25条の2(受贈益の益金不算入)の規定を適用しないとした場合に各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される受贈益の額に対応するものに限ります。) は、その法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されないことになっています。(法37②)

 この場合のその寄付金をうけた法人のその寄付金の額に対応する受贈益の額(法人税法37条(寄附金の損金不算入)の規定を適用しないとした場合に各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される寄附金の額に対応するものに限ります。) は、益金の額に算入されません。(法25の2①)

子会社等を整理、債権する場合の経済的利益の供与
 完全支配関係がある法人の子会社等を整理や再建する場合の、損失負担、債権放棄等、無利息貸付等ついては、基通9-4-1
(子会社等を整理する場合の損失負担等)、9-4-2(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)に該当しない場合は、寄付金として経済的利益を供与した法人は全額損金の額に算入しないこととし、受領した法人の受贈益は全額益金の額に算入しないことになります。(法37②、25の2①)

 一方、法基通9-4-1、9-4-2に該当する場合は、この通達に従って寄付金の額に該当しないこととなりますので
、その経済的利益を供与した法人は損金の額に算入し、受領した法人は益金の額に算入することになります。

発行法人への株式譲渡
 法人が、所有株式を発行した他の法人でその内国法人との間に完全支配関係があるものから、みなし配当の額が生ずる事由
(法人税法第24条第1項各号) により金銭その他の資産の交付を受けた場合又はその事由によりその他の内国法人の株式を有しないこととなつた場合については、譲渡損益を計上しないこととされています。(法61の2⑯)

完全支配関係がある内国法人の残余財産が確定した場合の繰越欠損金の引継ぎ
 その法人との間に完全支配関係がある他の法人でその法人が発行済株式若しくは出資の全部若しくは一部を有するものの残余財産が確定した場合において、その残余財産の確定の日の翌日前9年以内に開始した各事業年度において生じた欠損金額があるときは、その残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度以後の各事業年度における取扱いについては、その前9年内事業年度において生じた未処理欠損金額は、それぞれその未処理欠損金額の生じた前9年内事業年度開始の日の属するその法人の各事業年度において生じた欠損金額とみなされます。(法57②)

適格現物分配
 適格現物分配 により現物分配法人 が被現物分配法人にその有する資産の移転をしたときは、被現物分配法人にその移転をした資産の適格現物分配の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、各事業年度の所得の金額を計算することとされています。
適格現物分配とは、法人が行う現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前においてその法人との間に完全支配関係がある法人のみであるものをいうとされています。(法62の5➂

② 現物分配とは、法人がその株主等に対しその法人の次に掲げる事由により金銭以外の資産の交付をすることをいいます。(法2①十二の六)

イ 剰余金の配当(株式又は出資に係るものに限るものとし、資本剰余金の額の減少に伴うもの及び分割型分割によるものを除きます。)若しくは利益の配当(分割型分割によるものを除きます。)又は剰余金の分配(出資に係るものに限ります。)

ロ 法人税法第24条第1項第3号から第6号まで(配当等の額とみなす金額)に掲げる事由
③ 現物分配法人とは、現物分配によりその有する資産の移転を行つた法人をいいます。(法2①十二の六)


大会社の子会社等に対する中小企業特例措置の不適用
 (1) 中小企業特例措置不適用の対象法人
 期末の資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人であっても、各事業年度終了の時において次に掲げるイ、ロ、ハの大法人との間に完全支配関係がある普通法人及びニの完全支配間関係にある法人に該当するものについては、下記(2)の中小企業特例措置は、認められないことになっています。
(法66⑥)
イ 資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人
ロ 相互会社
(外国相互会社を含みます。)
ハ 受託法人
ニ 法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部をその全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその法人
(イ、ロ、ハに掲げる法人を除きます。)

 (2)不適用とされる中小企業特例措置
  上記(1)により、不適用とされる中小企業向け特例措置は以下のとおりです。
    ①年800万円以下の所得の軽減税率
(法66②⑥、措法42の3の2①)
    ②特定同族会社の特別税率の不適用
(法67①)
    ➂貸倒引当金の繰入
(法52①②、措法57の9①②、措令33の7④))
    ④交際費等の損金不算入計算の定額控除
(措法61の4②)
    ⑤欠損金の繰越控除限度額(80%の不適用)(措法57①⑪、58①⑥)
    ⑥欠損金の繰戻しによる還付
(措法66の13①)


 | 1 | 2 |

新着経営情報  過去ファイル