
会社の整理と租税債権(2)清算型
2011/6/1 菊 池 芳 平
前回の「会社の整理と租税債権(1)-再建型-」に続き、今回は清算型の会社整理について、税金(会社更生法第2条15項や破産法第97条1項4号等に規定されている租税等の請求権で国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権)がどのような優先順位で徴収されるかを検討します。
1.破産法による清算型整理の場合
① 債権の取扱い
弁済の優先順位は「財団債権」→「優先的破産債権」→「一般の破産債権」→「劣後的破産債権」の順とされています(破194①)。
財団債権は破産債権に先立って弁済され(破151①)、破産手続きによらないで、破産財団から随時弁済されます。(破2⑦)
優先的破産債権は他の破産債権に優先し、優先的破産債権間の優先順位は国税、地方税が優先します。(破98①②)(国徴8条、地税14条)
② 税金の弁済
A)破産手続き開始前の原因に基づいて生じた税金であって、破産手続開始当時、まだ納期限の到来していないもの又は納期限から1年を経過していないものは財団債権とされます。(破148①三)
B)破産財団の管理、換価及び配当に関する費用の請求権とされる固定資産税や換価による消費税等の税金は財団債権とされます。(破148①二)
C)破産手続開始前の原因に基づいて生じた税金で破産手続開始当時納期限から1年を経過しているものは優先的破産債権とされます。(破2⑤)(破98①)
D)破産手続開始後の原因に基づいて生じた税金
ア)破産財団の管理、換価、配当に関する費用の請求権とされるものは財団債権とされます。(破148二)
イ)それ以外は劣後的破産債権とされます。(破97①四)(破99①一)
E)破産手続き開始前に生じた延滞税、利子税又は延滞金
ア)財団債権である本税について生じたものは財団債権とされます。(破148①)
イ)それ以外の破産債権の本税について生じたものは優先的破産債権とされます。(破2⑤)(破98①)
F)破産手続き開始後に生じた延滞税、利子税又は延滞金
ア)財団債権である本税について生じたものは財団債権とされます。(破148①)
イ)それ以外の本税について生じたものは劣後的破産債権とされます。(破97①三)(破99①一)
G)加算税又は加算金は劣後的破産債権とされます。(破97①五)(破99①一)
③ 滞納処分
破産法では「国税滞納処分等の取扱い」において、破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する国税滞納処分はすることができないこととされています。(破43①)
また、破産財団に属する財団に対して国税滞納処分が既にされている場合には、破産手続開始の決定は、その国税滞納処分の続行を妨げないこととされています。(破43②)
2.会社法による特別清算型整理の場合
会社法における特別清算では、一般優先債権である税金は協定債権に該当しないため、協定の権利変更の対象とはならないとされています。(会515③)
したがって、債権申出期間(会499)は、裁判所の許可を得ると随時弁済が可能となります(会500②これを弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権)。 債権申出期間経過後は裁判所の許可なしに随時弁済されます。
このほか「他の手続の中止命令」(会512①二)や他の手続の中止等(会515①)においても、一般の優先権がある債権である税金は対象とされないことから、特別清算開始の命令等によっても税金の滞納処分は中止されないこととなります。
3.私的整理による清算型整理の場合
私的整理(任意整理)では、国税優先の原則(国徴8条)、地方税優先の原則(地税14条)等により税金債権が優先されます。
また、新たな滞納処分は禁止されず、既にされている滞納処分は中止されずに続行されます。
【参考図書】
永石一郎 他共著「倒産処理実務ハンドブック」(中央経済社)
中村慈美 著「法的・私的整理における債権者・債務者の税務」(大蔵財務協会)
倒産・再生・再編六法 2011年版(民事法研究会)
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