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過大債務相続と限定承認


2021/5/1  菊 池 芳 平

 亡くなった親等が不景気で過大な債務を抱えている場合、相続人は注意すべきです。
この場合その相続人は相続した資産で返済しきれない借金も全部引き継ぐことになっているからです。
しかし、限定承認の手続き(家庭裁判所に熟慮期間内に)をすれば相続した資産の範囲で債務を負担することになっています。

限定承認をした場合の時価課税
 限定承認をすると、土地建物などの譲渡所得の起因となる資産は時価(相続開始時の時価)で譲渡したものとみなされます。(所59①一)
 このことは分かりにくいので、その趣旨を次に検討してみます。

限定承認の時価課税の趣旨
 限定承認の時価課税の趣旨は相続人の税負担の軽減と考えられています。
なぜ、時価課税になって、それが相続人の税負担の軽減になるかというと、承継した過大な債務の清算のための相続不動産の譲渡は所有権が相続人に移転した後にされることから譲渡所得の税金も相続人が負うことになります。このことは承継した資産の範囲で債務を負担するという限定承認の趣旨に反することになります。
 そこで、限定承認があった場合は、相続開始時にその時の時価で、亡くなった親等から相続人に譲渡があったものとして、亡くなった親等の課税義務たる債務として相続人に承継し、相続人が承継した資産の範囲で債務を負担することにしたと考えられています。
 
みなし譲渡の時価課税
 法人に対する贈与についても、限定承認の時価課税と同様に時価譲渡とみなす規定があります。(所59)
個人が、法人に対して贈与(著しく低い対価の譲渡を含みます)した場合に時価で譲渡したものとみなして課税するのは、この法人への贈与の時以外に値上がり益の清算課税の機会を失するため、この機会に課税を行うと考えられています。





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