消費税、日々の業務で気を付けることは?
2019/5/1 菊 池 芳 平
なっちゃん:このまえテレビで消費税がまた上がるって言ってたけどホント?
パパ:そうらしいね。2019年10月から実施されるらしいよ。
なっちゃん:どうして上がるの?
パパ:幼児教育の無償化や国の医療費や介護費用が増えていることとか、国の財政事情などから上げざるおえないらしいよ。
なっちゃん:ふーん。・・・どんなふうになるの?
パパ:なんでも消費税の税率が今までの8%から10%に上がるらしいよ。でも特定の飲食料品と新聞は8%に軽減されるらしいんだ。
消費税のこれまでの経緯と改正予定
各国の消費税率
消費税の国際比較をみると日本の消費税率は標準税率ではそれほど高くありませんが軽減税率では他に低い国も多いようです。
標準消費税率と食料品の軽減税率の国際比較
標準消費税率 軽減税率(食料品)
スウェーデン 25% 12%
フランス 20% 5.5%
イタリア 22% 10%
イギリス 20% 0%
ドイツ 19% 7%
中国 17% 11%
オーストラリア 10% 0%
日本 (10/1予定) 10% 8%
韓国 10% 非課税
カナダ 5% 0%
(注)財務省HP「付加価値税率(標準税率及び食料品に対する適用税率)の国際比較」を加工して作成。日本は2019年10月1日の予定税率、他の国は2018年1月現在。
新しい税率はどうなるの?
(1) 10%と8%の複数税率
2019年10月1日実施予定の消費税の税率は以下のとおり複数税率になります。
標準税率 10%
軽減税率 8%(軽減税率対象品目のみ)
(2) 8%の軽減税率対象品目って何?
軽減税率の対象品目は飲食料品と新聞ですが、具体的には次のようになっています。
〇 飲食料品(酒類と外食を除きます)
〇 新聞(週2回以上発行されるもので定期購読契約に基づくもの)
飲食料品 標準税率10% 酒類、外食、ケータリング(出張料理サービス)、イートイン(店内飲食)、医薬品・医薬部外品等
軽減税率8% その他の飲食料品、テイクアウト(持ち帰り)、デリバリー(出前・宅配)、学校給食等の一定の給食飲食料品の提供
販売対象 内 容
通信販売 通信販売でも飲食料品は軽減税率の対象となります。
自動販売機 ジュース等の販売は軽減税率の対象となります。
果樹園入園料 入園料の役務提供は軽減税率の対象となりません。
栄養ドリンク 医薬品、医薬部外品、再生医療等製品に該当しない場合は軽減税率の対象となります。
ノンアルコールビール、甘酒 アルコール1度未満のものに限り軽減税率の対象となります。
水の販売 ミネラルウオーター等の販売は軽減税率の対象となります。一般の水道水の利用は対象になりません。
屋台でのおでんラーメンの提供 飲食設備(テーブル、カウンター等)での飲食は軽減税率の対象となりません。
消費税額の計算と仕入れ税額控除
企業の消費税の納付税額は下図のように課税売上の消費税額から仕入税額を控除して計算します。
仕入税額控除が認められるためには?
消費税率が複数税率に改正になると、上図の仕入税額控除が認められるための請求書等の要件が以下のように変わります。
請求書や帳簿はどんなふうに記載するの?
仕入税額控除が認められるための国税庁による請求書や帳簿の記載例は以下のとおりです。
(出典:国税庁 消費税軽減税率制度の手引き)
区分記載請求書等保存方式の場合の日々の業務で気をつけることは?
(注)区分記載請求書等の範囲
法定事項記載の請求書、領収書、納品書、レシート等
1.購入支払時
① 購入支払時に軽減税率対象品目があるか確認します。
② 軽減税率対象品目がある場合はその旨および税率ごとに合計した税込対価の額を確認。(未記載の場合は事実にもとづき追記も可能。)
③ 帳簿等には経費を税率ごとに分けて記載します。
2.売上時
① ¬売上の軽減税率対象品目を確認します。
② 軽減税率対象品目がある場合は請求書等にその旨および税率ごとに合計した税込対価の額を記載して交付します。
③ 帳簿等には売上を税率ごとに分けて記載。
3.申告時
区分経理に基づき税率ごとに税額計算します。(中小事業者の特例があります。)
免税事業者の対応は?
取引先の課税事業者から区分記載請求書等の交付を求められた場合は、区分記載請求書等の交付等の対応が必要になります。
レジを導入等したいが資金がない場合は?
複数税率対応の ㋑レジの導入や ㋺受発注システムの改修等をする場合の補助金の制度を活用すると出費を少なくできます。
【例】複数税率対応のレジを導入する場合の補助金
(出典:国税庁 消費税軽減税率制度の手引き)
※ 補助金詳細は:www.kzt-hojo.jp/ (中小企業庁軽減税率対策補助金事務局 0570-081-222 平日9時~17時)
※ 導入例 Airレジと付属機器 (連携サービス:Airペイ・POICHI for Airレジ・Square・クラウド会計)
導入や改修にあたっては、区分記載請求書等の要件を満たすと同時に、来る2023年10月1日以降導入予定の適格請求書等の要件も満たすようにします。
さいごに
消費税増税は、これまで延期に延期を重ねてきましたが、一部に景気や選挙対策等で再々延期の声も聞こえます。しかし身近な税金ですので内容を今一度確認して万全の備えをしておきましょう。
( 東村山法人会会報誌掲載 )
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