販売ないくして事業なし
2019/3/1 菊 池 芳 平
売上は経営者にとって最も気になるもの。決算が終わるころになると今期の数字とともに来期のこともそぞろ気になります。
そこで今回は、気になる売上について飲食店を例にとってその行動プランの立て方をお話します。
飲食店以外の業種でも考え方は同じですのでどうぞ最後までお読みください。
売上向上の行動プランを立てる前に、売上不足額の計算をしてみましょう。
1.必要売上と不足売上
① 必要売上の計算
はじめに年間の必要売上を計算します(経費は直近3期の平均値。人件費は計画金額)
以下は、分かりやすくするため厳密さを欠きますがご了承下さい。
年間経費等(年間営業経費+年間人件費+年間仕入れ等の原価)+ 必要利益=必要売上高
(注1) 借入金返済額は、返済原資が利益のため経費等として必要売上の計算根拠とします。
(注2) 諸経費で大きく変動が予想される場合は、増減額を見積もって計算に組み入れます。
(注3) 必要利益は経営ビジョン達成のための税引前利益です
② 不足売上の計算
次に不足売上の計算をします
必要売上-売上見通し=年間不足売上
不足売上の増加が目標となります。
大まかな不足売上額が分かりましたらつぎに市場機会への対応方針を検討してみましょう。
2.市場の分析と方向づけ
① 市場と当社の分析
市場の分析は重要です。
よく使われる手法ですが、次のSWOT分析表に記入し、作戦をたてます。
② お店の進むべき方向
業界市場の機会(ビジネスチャンス)と脅威をリストアップし、これにお店の特徴である強みと弱みを対比させ、市場の脅威を避け、強みを活かし、機会に向けて商品、ターゲット顧客を決定します。
また、強みがみあたらない場合は、市場機会にむけて当店が勝てる強みを探し、これを強化します。
3.お店のイメージ戦略
売上UPをはかるには、お店のイメージも大切です。
なぜなら、お客様はお店のイメージ(価格、品質、サービス等のお店の特徴)を直感的に他店と比較し、購買を決定するからです。
お店のターゲットとするお客様が最も支持してくれる特徴を選び、これをお店の中心にします。
お店のイメージを考える上で参考にしたいのが次のポジショニング分析です。
4.ポジショニング戦略
他店との違いを明確にし、当店の優位性を明確にするために2軸を用いてマッピングするツール、それがポジショニング分析です。
【ポジショニング分析の一例】
お店の進む方向(戦略)が違っていると戦いに負けますから、お店の特徴を誤ってはいけません。なんどもお客様の立場になって検討します。
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□ その特徴は、競合店との違いとしてお客様に明確に認識できるものか
□ その特徴は、ターゲット顧客に支持されるものか
□ その特徴で戦って、勝てる見込み(採算)があるか
競合店との違いが明確で、かつお客様からご支持をいただける特徴を選び、これを当店の強みとし、お客様にアピールし、さらなる集客方法を考えましょう。
5.行動プランの立て方
進むべき方向(戦略)、イメージ、ポジショニングが決まりましたら、いよいよ行動プランの策定です。
(1)目標を達成するためのアイデアの抽出
①アイデアの収集列挙
目標を達成するためのアイデアをブレーンストーミング(注)やKJ法(注)等により、スタッフ全員でできるだけ多く知恵を絞って列挙します。
(注)ブレーンストーミング : よりよいアイデアを得ることを目的として、自由に意見が言える雰囲気で、批判を禁止。意見の質より量を重視するアイデア収集法。
(注)KJ法 : ブレーンストーミングなどで思いついた多くのアイデア情報をカードに記し、関連性の高いカードをグループ化し分類・統合しながら意味をもつ単位に集約しそこから課題解決の糸口を得ようとする方法。
②アイデアの絞り込みとウェイト付け
アイデアを取捨選択し、絞り込みをします。(スクリーニング)
つぎに目標達成に必ず必要なものを重要度の高いものから順に並べます。
(2)行動計画の策定と実行、評価
重要度の高いものから行動計画をたてて実行します
行動計画表はこれらの売上向上策と達成期限が記入されていること、そして実行担当者と責任者、毎日の必要売上高と実績売上高の記入欄を設けます。
実行したなら毎日・毎週・毎月、行動計画表に記入し、評価も記入します
(効果が出ない場合はさらに検討を加え、行動計画を練り直します)
まとめ
経営のあるべき姿を具体的にイメージし、行動計画として策定実践することは効果があります。
行動計画によって、どの方向に進むべきか、今何をすべきかがわかるからです。
( 東村山法人会会報誌掲載 )
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