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相続税 - 3年以内贈与加算


2017/8/1  菊 池 芳 平

 相続又は遺贈により財産を取得した者が、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産があるときは、その者の相続税の課税価格にその受贈財産の受贈時の価額を加算します。
 また、その加算された受贈財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された者の相続税の計算上控除されます。

相続開始前3年以内に贈与があつた場合の相続税額の計算(法19@)
(1)加算される贈与財産
 相続又は遺贈により財産を取得した者が
 当該相続の開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合は、
その者については、当該贈与により取得した財産(*特定贈与財産を除きます。)の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなして相続税額を計算します。

 その加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された者の相続税の計算上控除されます。ただし、加算税、延滞税、利子税の額は控除されません。
 * 特定贈与財産とは*
この特定贈与財産とは以下のいずれかに該当するものをいいます。
(1) 当該贈与が相続開始の年の前年以前にされた贈与により取得した財産で、贈与税の配偶者控除の適用を受けたもののうちその控除額に相当する部分
(2) 当該贈与がその配偶者が贈与税の配偶者控除の適用を受けたことがないものである場合で、相続開始の年に贈与により取得した財産のうち、その財産について贈与税の配偶者控除の適用があるものとした場合にその控除額として控除されることとなる金額に相当する部分
(2)加算されない贈与財産
 被相続人から生前に贈与された財産でも次の財産については加算する必要はありません。
(1) 婚姻期間20年以上の贈与税の配偶者控除の特例に係る配偶者控除額に相当する金額 (法21の6)
(2 )直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税適用額 (措70の2)
(3) 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税適用額 (措70の2の2)
(4) 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税適用額 (措70の2の3)

贈与により取得した財産の価額
 相続の開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合の相続税の課税価格に加算される財産の価額は、当該財産に係る贈与の時における価額によります。(基19-1)

相続開始前3年以内の贈与
「相続の開始前3年以内」とは、当該相続の開始の日からさかのぼって3年目の応当日から当該相続の開始の日までの間をいいます。(基19-2)

相続の放棄等をした者が当該相続の開始前3年以内に贈与を受けた財産
 相続開始前3年以内に当該相続に係る被相続人からの贈与により財産を取得した者(当該被相続人を特定贈与者とする相続時精算課税適用者を除きます。)が当該被相続人から相続又は遺贈により財産を取得しなかった場合は、その者については、3年以内贈与加算の規定の適用はありません。
 しかし、当該相続時精算課税適用者については、当該被相続人から相続又は遺贈により財産を取得しなかった場合であっても、3年以内贈与加算の規定の適用があります。(基19-3)

債務の通算
 相続開始前3年以内に贈与によって取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算した場合においても、その加算した財産の価額からは債務控除はできません。(基19-5)

店舗兼住宅等の持分の贈与を受けた場合の特定贈与財産の判定
 相続の開始の年に当該相続に係る被相続人から贈与により取得した財産が店舗兼住宅等の持分である場合には、当該店舗兼住宅等の居住の用に供している部分の割合にその贈与を受けた持分の割合を乗じて計算した部分が居住用不動産になります。
 ただし、その贈与を受けた持分の割合が、当該店舗兼住宅等の居住の用に供している部分の割合以下である場合において、その贈与を受けた持分の割合に対応する当該店舗兼住宅等の部分を居住用不動産に該当するものとして申告があったときは、それが認められます。また、贈与を受けた持分の割合が当該店舗兼住宅等の居住の用に供している部分の割合を超える場合における居住の用に供している部分についても同様となります。(基通19-10、21の6-2、21の6-3) 

相続時精算課税適用者に対する法第19条の規定の適用
 相続時精算課税適用者が特定贈与者からの贈与により取得した相続時精算課税の適用を受ける財産については相続開始前3年以内贈与加算の規定の適用はないが、当該特定贈与者に係る相続の開始前3年以内で、かつ、相続時精算課税の適用を受ける年分前に当該相続時精算課税適用者が、特定贈与者である被相続人からの贈与により取得した財産については、当該財産の価額を相続税の課税価格に加算することとなります。
 また、当該被相続人から相続又は遺贈により財産を取得しなかった者であっても、その者が当該被相続人を特定贈与者とする相続時精算課税適用者であり、かつ、当該被相続人から相続開始前3年以内に贈与により取得した財産(相続時精算課税の適用を受ける財産を除きます。)がある場合は、その者については、相続開始前3年以内贈与加算の規定の適用があります。(基通19-11)



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