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相続税 - 配偶者に対する相続税額の軽減
2017/6/1 菊 池 芳 平
被相続人の配偶者が取得した遺産が、遺産総額に配偶者の法定相続分を乗じて計算した金額以下の場合はその配偶者には相続税は課税されません。
この他、配偶者の生活保障を考慮して、配偶者が法定相続分以上で相続した場合でも、1億6,000万円までは相続税がかからないようにしています。
この制度の対象となる財産には、分割されていない財産や仮装又は隠蔽された財産は含まれません。
(1)軽減税額
被相続人の配偶者がその被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した場合の配偶者については、
次の一の金額から二の金額を控除した残額があるときは、当該残額をもつてその納付すべき相続税額とし、一の金額が、二の金額以下であるときは、その納付すべき相続税額は、ないものとされます。
(法19の2@)
一 当該配偶者につき第15条から第17条まで及び前条の規定により算出した金額
二 当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の総額に、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額が当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額
イ 当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額に民法第900条(法定相続分)の規定による当該配偶者の相続分(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続分)を乗じて算出した金額(当該被相続人の相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)が当該配偶者のみである場合には、当該合計額)に相当する金額(当該金額が1億6,000万円に満たない場合には、1億6,000万円)
ロ 当該相続又は遺贈により財産を取得した配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額
(2)申告要件
この規定は、法に定める期限内申告書等に、この規定の適用を受ける旨及びその金額の計算に関する明細の記載をした書類その他一定の書類の添付がある場合に限り適用されます。(法19の2B、規1の3B)
(3)財産が未分割の場合
@ 配偶者に対する相続税額の軽減の規定の適用は、相続税の申告期限までに、その相続又は遺贈により取得した財産の全部が分割されることが条件です。
A その財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によつてまだ分割されていない場合のその分割されていない財産は、当該相続又は遺贈により財産を取得した配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額の計算の基礎にされる財産に含まれないこととなります。
B ただし、その分割されていない財産が申告期限から3年以内に分割された場合には、その分割された財産については、税額軽減の対象になります。
3年以内に分割できないできない場合でも、やむを得ない事情があり所轄税務署長の承認を受けたときは、その事情がなくなった日の翌日から4月以内に分割された場合は、税額軽減の対象になります。(法19の2A、令4の2)
(4)隠ぺい仮装行為があった場合
@ 配偶者に対する相続税額の軽減の制度の対象となる財産には、仮装又は隠蔽されていた財産は含まれません。
したがって、隠蔽仮装行為に基づき、申告書を提出しあるいは更正又は決定があるべきことを予知して期限後申告書又は修正申告書を提出するときは、相続税の総額、課税価格、課税価格の合計額については隠蔽仮装行為による事実に基づく金額に相当する金額を控除した残額で計算します。(法19の2D)
A この場合の隠蔽仮装行為とは、相続又は遺贈により財産を取得した者が行う行為で当該財産を取得した者に係る相続税の課税価格の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装することをいいます。(法19の2E)
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