|
|
消費税 - 棚卸資産の調整
2017/2/1 菊 池 芳 平
消費税法は免税事業者が課税事業者になった場合にその免税棚卸資産に係る消費税額を課税仕入れ等の税額とみなしたり、あるいは課税事業者が免税事業者になった場合は逆に当該課税棚卸資産に係る消費税額を課税仕入れ等の税額に含めないとする規定があります。
それではこれらについての要件とその取扱いについて検討することとします。
免税事業者が課税事業者になった場合
免税事業者が課税事業者になった場合は、免税期間の棚卸資産に係る消費税額を課税仕入れ等の税額とみなします。
この場合の棚卸資産の要件と処理は以下のとおりです。(法36@)
@ 免税事業者が、課税事業者になつた場合に、
A その課税事業者となった課税期間の初日(注1)の前日において免税事業者であった期間中に行った課税仕入れに係る棚卸資産等を有しているときは、
B 当該課税仕入れに係る棚卸資産等に係る消費税額(注2)を、その課税事業者となった課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額とみなします。
(注1) 相続のあった年、吸収合併、吸収分割があった事業年度にその適用を受けないこととなった場合には、受けないこととなった日
(注2) 前課税期間末の棚卸資産の課税仕入れの金額と課税貨物の金額の合計額に108分の6.3を乗じて算出した金額がをいいます。(以下同じ)
この規定は、事業者が棚卸資産等の明細を記録した書類を保存しない場合には、当該保存のない棚卸資産等については、適用されません。ただし、災害その他やむを得ない事情により保存をすることができなかつたことを事業者において証明した場合は、この限りでないとされています。(法36A)
相続・合併等により事業を承継した場合
事業承継により、免税期間の課税仕入れに係る棚卸資産等を引き継いだときは、当該免税期間の棚卸資産等に係る消費税額をその引継ぎを受けた課税事業者の課税仕入れ等の税額とみなします。
この場合の棚卸資産の要件と処理は以下のとおりです。(法36B)
@ 課税事業者である個人事業者又は法人が
A 相続、合併、分割により
B 免税事業者である被相続人、被合併法人、分割法人の事業を承継し
C 当該被相続人、被合併法人、分割法人が免税事業者であった期間中に、国内において譲り受けた課税仕入れに係る棚卸資産等を引き継いだときは、
D 当該課税仕入れに係る棚卸資産等に係る消費税額を
E 当該引継ぎを受けた個人事業者又は法人の当該相続、合併、分割があつた日の属する課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額とみなします。
この規定は、事業者が棚卸資産等の明細を記録した書類を保存しない場合には、当該保存のない棚卸資産等については、適用されません。ただし、災害その他やむを得ない事情により保存をすることができなかつたことを事業者において証明した場合は、この限りでないとされています。(法36C)
課税事業者が免税事業者になった場合
課税事業者が免税事業者になった場合は、当該課税期間中の課税仕入れに係る棚卸資産等の消費税額は、課税仕入れ等の税額に含めません。
この場合の棚卸資産の要件と処理は以下のとおりです。(法36D))
@ 課税事業者が、免税事業者になつた場合において、
A 課税期間の初日の前日において当該前日の属する課税期間中に国内において譲り受けた課税仕入れに係る棚卸資産等を有しているときは、
C 当該課税仕入れに係る棚卸資産等に係る消費税額は、その課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額に含まれないものとされます。
■新着経営情報 ■過去ファイル
|
|
|
|