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消費税 - 調整対象固定資産 (1) 課税売上割合の著しい変動
2016/12/1 菊 池 芳 平
調整対象固定資産の課税仕入れ等は、比例配分法により計算した課税売上割合が、通算課税売上割合に比し、著しく増減したときは、第3年度の課税期間に仕入控除税額の調整を行います。
調整対象固定資産とは
調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で、当該資産の課税仕入れに係る税抜支払対価の額等が、一の取引の単位(通常一組又は一式をもつて取引の単位とされるものにあつては、一組又は一式)につき100万円以上のものをいいます。(法2@十六、令5)
課税売上割合の著しい変動の場合の仕入消費税額調整
調整対象固定資産について以下の要件に該当する場合は、仕入れ税額の調整を要します。(法33@)
@ 事業者が国内において調整対象固定資産の課税仕入れ等(注1)を行い、
A かつ、当該課税仕入れ等の税額につき比例配分法(注2)により仕入れに係る消費税額を計算した場合に、
B 当該事業者が第3年度の課税期間の末日において当該調整対象固定資産を有し、
C かつ、第3年度の課税期間(注3)における通算課税売上割合(注4)が仕入れ等の課税期間(注5)における課税売上割合に対して著しく増減(注6)した場合は、
D 一定の金額をその者の当該第3年度の課税期間の仕入れに係る消費税額に加算又は控除します。
この場合に、当該加算又は控除した後の金額を当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなします。(法33@、令53@A)
(注1) 調整対象固定資産の課税仕入れ等とは
調整対象固定資産の課税仕入れ等とは、調整対象固定資産の課税仕入れ、特定課税仕入れ、調整対象固定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引き取りをいいます。(法33@)
(注2) 比例配分法とは
比例配分法とは、個別対応方式の按分計算として課税売上割合を乗じて計算する方法又は一括比例配分方式の按分計算として課税売上割合を乗じて計算する方法をいいます。(法33A)
(注3) 第3年度の課税期間とは
第3年度の課税期間とは、仕入れ等の課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間をいいます。(法33@)
(注4) 通算課税売上割合とは
通算課税売上割合とは、仕入れ等の課税期間から第3年度の課税期間までの各課税期間において適用されるべき課税売上割合を通算した課税売上割合をいいます。(法33A)
課税売上割合の分子:資産の譲渡等の税抜対価の額-税抜対価の返還等の金額。課税売上割合の分母:課税資産の譲渡等の税抜対価のの額-税抜対価の返還等の金額(令53B)
(注5) 仕入れ等の課税期間とは
仕入れ等の課税期間とは、当該調整対象固定資産の課税仕入れの日、特定課税仕入れの日、保税地域からの引取りの日、課税貨物につき特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日の属する課税期間をいいます。(法33@)
(注6) 課税売上割合の著しい増減とは
課税売上割合の著しい増減とは、
@ 著しく増加した場合は、仕入れ等の課税期間における課税売上割合のうちに通算課税売上割合から仕入れ等の課税期間における課税売上割合を控除した割合の占める割合が100分の50以上であり、かつ、当該通算課税売上割合から当該課税売上割合を控除した割合が100分の5以上である場合いいます。
A 著しく減少した場合は、仕入れ等の課税期間における課税売上割合のうちに仕入れ等の課税期間における課税売上割合から通算課税売上割合を控除した割合の占める割合が100分の50以上であり、かつ、当該課税売上割合から当該通算課税売上割合を控除した割合が100分の5以上である場合をいいます。
(令53@)
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