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消費税 - 仕入税額控除


2016/11/1  菊 池 芳 平

 仕入税額控除は、その課税期間の課税売上高が5億円以下で、かつ課税売上割合が95%以上の場合に全額控除が認められますが、それ以外は按分計算することになります。按分計算の方法には個別対応方式と一括比例配分方式があります。


その課税期間の課税売上高が5億円以下でかつ課税売上割合が95%以上の場合 
  その課税期間の課税売上高が5億円以下でかつ課税売上割合が95%以上の場合に、事業者が国内において課税仕入れ等(注1)を行った場合には、当該課税仕入れ等を行った日等(注2)の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から当該課税期間中に国内において行った課税仕入れ等の消費税額の合計額を控除します。(法30@)
 
(注1) 課税仕入れ等とは、国内において行う課税仕入れ若しくは特定課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物をいいます。
(注2) 当該課税仕入れ等を行った日等とは、国内において課税仕入れを行った日、特定課税仕入れを行った日、一般申告課税貨物を引き取った日、特例申告書を提出した日又はその申告の決定の通知を受けた日をいいます。


その課税期間の課税売上高が5億円を超えるとき、又はその課税期間の課税売上割合が95%未満の場合
 その課税期間の課税売上高が5億円を超えるとき、又はその課税期間の課税売上割合が95%未満の場合に、当該課税仕入れ等を行った日等の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除する課税仕入れ等の消費税額の合計額は、次の区分に応じ、当該区分の方法により計算した金額となります。(法30A)

(1)個別対応方式
 当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れ等につき、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等(以下その他の資産の譲渡等といいます。)にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものにその区分が明らかにされている場合
 イに掲げる金額にロに掲げる金額を加算する方法
イ 課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等の税額の合計額
ロ 課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額

(2)一括比例配分方式
  当該課税期間における課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算する方法


課税売上割合に準ずる割合
 次の要件の全てに該当することにより納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合は、その承認を受けた日の属する課税期間以後の課税期間については、、通常の課税売上割合に代えて、課税売上割合に準ずる割合を用いて計算した金額となります。
 ただし、当該割合を用いて計算することをやめようとする旨を記載した届出書を提出した日の属する課税期間以後の課税期間については、この限りでありません。(法30B)

一 、課税売上割合に準ずる割合が当該事業者の営む事業の種類又は当該事業に係る販売費、一般管理費その他の費用の種類に応じ合理的に算定されるものであること。

二 、課税売上割合に準ずる割合を用いて個別対応方式による金額を計算することにつき、その納税地を所轄する税務署長の承認を受けたものであること。
課税売上割合に準ずる割合とは
 課税売上割合に準ずる割合とは、使用人の数又は従事日数の割合、消費又は使用する資産の価額、使用数量、使用面積の割合その他課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものの性質に応ずる合理的な基準により算出した割合をいいます。(11-5-7)


按分計算の選択適用と制限
 個別対応方式を採用した事業者は、その課税期間中に国内において行つた課税仕入れ等につき、個別対応方式に代え、一括比例配分方式により控除される課税仕入れ等の税額の合計額を計算することができます。(法30C)
 この場合に、一括比例配分方式により計算することとした事業者は、当該方法により計算することとした課税期間の初日から同日以後2年を経過する日までの間に開始する各課税期間において当該方法を継続して適用した後の課税期間でなければ、個別対応方式により計算することはできないことになっています。(法30D)


課税仕入れ等に係る支払対価の額
 課税標準額に対する消費税額から控除する課税仕入れの消費税額は、その課税仕入れ等に係る支払対価の額等に108分の6.3を乗じて算出した金額です。この場合の課税仕入れ等に係る支払対価の額等は、それぞれ次のとおりになります。(法30E)
(1) 課税仕入れに係る支払対価の額とは、課税仕入れの税込対価の額(注1)をいいます。
(2) 特定課税仕入れに係る支払対価の額とは、特定課税仕入れの対価の額(注2)をいいます。
(3) 保税地域からの引取りに係る課税貨物とは、保税地域から引き取つた一般申告課税貨物又は特例申告書の提出若しくは特例申告に関する決定に係る課税貨物をいいます。
(注1) 対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、消費税額及び地方消費税額を含み、これらの税額に係る附帯税の額を除きます。
(注2) 対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額をいいます。

課税期間における課税売上高
 課税期間における課税売上高は、当該事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の税抜対価の額の合計額から当該課税期間の売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額(注)をいいます。(法30E)
(注) 課税期間が1年に満たない場合には、その残額をその課税期間の月数(当該月数は、暦に従つて計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とします。)で除し、これに12を乗じて計算した金額


課税期間におけ課税売上割合
 課税期間における課税売上割合は、当該事業者が当該課税期間中に国内において行つた資産の譲渡等(注)の対価の額の合計額のうちに当該事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額の占める割合として計算した割合をいいます。 (法30E)
(注) 特定資産の譲渡等に該当するものを除きます。




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