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消費税 - 課税対象①


2015/12/1  菊 池 芳 平

はじめに
 消費税の課税はその取引が、①課税の対象になるかどうかを見極め、次に課税対象となる取引のうち、各種の社会政策的配慮から、②非課税取引と、輸出取引等の証明を要件とした ➂免税取引を除外したものが課税取引として課税されます。
 どのような取引に消費税が課されるかは極めて重要で、消費税法は第4条に課税の対象、第6条に非課税、さらに第7条に輸出免税等を定め、課税の範囲を規定しています。

課税の対象

  以下の4要件をみたすと、消費税の課税対象になります。(法4①②)
  ① 国内において
  ② 事業者が事業として対価を得て行った
  ➂ 資産の譲渡等(注1)及び特定仕入れ(注2)
  ④ 又は輸入取引であること    
(注1) 資産の譲渡等は、資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいい、事業として対価を得て行われるものに限ります。
(注2) 特定仕入れは、事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等(事業者向け電気通信利用役務の提供及び特定役務の提供)をいいます。
上記の4要件に当たらない取引は不課税取引といわれ、消費税の課税対象になりません。

国内で行われたものがどうかの判定

課税対象の要件のうち、国内においてとは次の場所により判定します。(法4➂一、令6①)
(1) その取引が資産の譲渡又は貸付けである場合
 ①原則(法4③一)
 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所
 ②例外(令6①)

 船舶(登録を受けたもの) : 船舶の登録をした機関の所在地
二 一以外の船舶 その譲渡又は貸付けを行う者の当該譲渡又は貸付けに係る事務所、事業所その他これらに準ずるもの(以下「事務所等」といいます。)の所在地
三 航空機 : 航空機の登録をした機関の所在地(登録を受けていない航空機にあつては、当該譲渡又は貸付けを行う者の譲渡又は貸付けに係る事務所等の所在地
四 鉱業権若しくは租鉱権又は採石権その他土石を採掘し、若しくは採取する権利(採石権等) : 鉱業権に係る鉱区若しくは租鉱権に係る租鉱区又は採石権等に係る採石場の所在地
五 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、回路配置利用権又は育成者権 : これらの権利の登録をした機関の所在地(同一の権利について2以上の国において登録をしている場合には、これらの権利の譲渡又は貸付けを行う者の住所地)
六 公共施設等運営権 : 公共施設等の所在地
七 著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずる権利を含みます。)又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(著作権等) :  著作権等の譲渡又は貸付けを行う者の住所地
八 営業権又は漁業権若しくは入漁権 :  これらの権利に係る事業を行う者の住所地
九 次のイからホまでに掲げる資産 それぞれイからホまでに定める場所
イ 有価証券(ゴルフ場利用株式等を除きます。) 当該有価証券が所在していた場所
ロ 登録国債 登録国債の登録をした機関の所在地
ハ 合名会社等の出資者持ち分 当該持分に係る法人の本店又は主たる事務所の所在地
ニ 金銭債権 当該金銭債権に係る債権者の譲渡に係る事務所等の所在地
ホ ゴルフ場利用株式等 同項に規定するゴルフ場その他の施設の所在地
十 上記の資産以外の資産でその所在していた場所が明らかでないもの その資産の譲渡又は貸付けを行う者の当該譲渡又は貸付けに係る事務所等の所在地

(2) その取引が役務の提供である場合(電気通信利用役務の提供を除きます。)
(法4③二、令6②)
 ①原則(法4③二)
 当該役務の提供が行われた場所
 ②例外(令6②)
一 国内及び国内以外の地域にわたつて行われる旅客又は貨物の輸送 : 当該旅客又は貨物の出発地若しくは発送地又は到着地
二 国内及び国内以外の地域にわたつて行われる通信 : 発信地又は受信地
三 国内及び国内以外の地域にわたつて行われる郵便又は信書便 : 差出地又は配達地
四 保険 : 保険に係る事業を営む者(保険の契約の締結の代理をする者を除きます。)の保険の契約の締結に係る事務所等の所在地
五 専門的な科学技術に関する知識を必要とする調査、企画、立案、助言、監督又は検査に係る役務の提供で次に掲げる生産設備等の建設又は製造に関するもの : 当該生産設備等の建設又は製造に必要な資材の大部分が調達される場所
イ 建物及びその附属設備又は構築物(ロに掲げるものを除きます。)
ロ 鉱工業生産施設、発電及び送電施設、鉄道、道路、港湾設備その他の運輸施設又は漁業生産施設
ハ イ又はロに掲げるものに準ずるものとして財務省令で定めるもの
六 上記の役務の提供以外のもので国内及び国内以外の地域にわたつて行われる役務の提供その他の役務の提供が行われた場所が明らかでないもの : 役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地
国内及び国外にわたって行われる旅客又は貨物の輸送等  
 事業者が対価を得て行う、国内及び国外にわたって行われる旅客若しくは貨物の輸送、通信又は郵便若しくは信書便については、国内を出発地若しくは発送地、発信地又は差出地とするもの及び国内を到着地、受信地又は配達地とするものの全てが国内において行われた課税資産の譲渡等に該当し、法第7条第1項第3号《国際輸送等に係る輸出免税等》又は令第17条第2項第5号若しくは第7号《国際郵便等に係る輸出免税》の規定の適用を受けることになるのであるから留意する。(消費税基通5-7-13)

(3) その取引が電気通信利用役務の提供である場合(法4③三)
 当該電気通信利用役務の提供(注1)受ける者の住所若しくは居所(注2)又は本店若しくは主たる事務所の所在地
(法4③三)
(注1) 電気通信利用役務の提供は、資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる著作物 (著作権法に規定する著作物) の提供その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供 (ただし、電話、電信その他の通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供を除きます。) であつて、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいいます。(法2①八の三)
5-8-3 電気通信利用役務の提供
電気通信利用役務の提供とは、電気通信回線を介して行われる著作物の提供その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供であって、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいうのであるから、例えば、次に掲げるようなものが該当する。
(1) インターネットを介した電子書籍の配信
(2) インターネットを介して音楽・映像を視聴させる役務の提供
(3) インターネットを介してソフトウエアを利用させる役務の提供
(4) インターネットのウエブサイト上に他の事業者等の商品販売の場所を提供する役務の提供
(5) インターネットのウエブサイト上に広告を掲載する役務の提供
(6) 電話、電子メールによる継続的なコンサルティング
(注) 電気通信利用役務の提供に該当しない他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供には、例えば、次に掲げるようなものが該当する。
1 国外に所在する資産の管理・運用等について依頼を受けた事業者が、その管理等の状況をインターネットや電子メール(以下5-8-3において「インターネット等」という。)を利用して依頼者に報告するもの
2 ソフトウエア開発の依頼を受けた事業者が、国外においてソフトウエアの開発を行い、完成したソフトウエアについてインターネット等を利用して依頼者に送信するもの
(注2)居所とは、現在まで引き続いて1年以上居住する場所をいいます。
みなし譲渡の課税
次に掲げる行為は、事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなされます。(法4⑤)
一 個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたものを家事のために消費し、又は使用した場合における当該消費又は使用
二 法人が資産をその役員(注)に対して贈与した場合における当該贈与
(注) 役員とは、法人税法第2条第15号(定義)に規定する役員をいいます。
輸入取引の課税
 保税地域から引き取られる外国貨物には、消費税が課されます。(法4②)
 (注) 保税とは、関税の徴収を一時留保することをいい、関税を一時留保して外国貨物を保管する場所を保税地域と言います。


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