会社の税金 -株式移転@
2015/10/1 菊 池 芳 平
はじめに
株式移転とは、株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいいます。(会社法2@三十二)
法人税法では、株式移転によりその株主の有する株式をその株式移転により設立された法人に取得させた株式を発行した法人を株式移転完全子法人といい、
株式移転により他の法人の発行済株式の全部を取得したその株式移転により設立された法人を株式移転完全親法人といいます。(法2@十二の六の五、十二の六の六)
適格株式移転の要件
適格株式移転とは次のイ、ロ、ハのいずれかに該当する株式移転で株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親法人の株式以外の資産(注)が交付されないもの(金銭等不交付要件)をいいます。(法2@十二の十七)
(注) ただし、株式移転に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除きます。
イ 完全支配関係がある継続する株式移転 (注1)
ロ 支配関係が継続しかつ次に掲げる要件の全てに該当するもの (注2)
@ おおむね100分の80以上に相当する数の者が当該株式移転完全子法人の業務に引き続き従事
A 各株式移転完全子法人の主要な事業が株式移転後も当該株式移転完全子法人において継続営業
ハ 共同で事業を営む場合の株式移転 (注3)
(注1) 完全支配関係継続要件
完全支配関係継続要件は次の@又はAの場合をいいます。(法2十二の十七イ、令4の3PQ)
@ 株式移転前に当該株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間に同一の者による完全支配関係があり、かつ、当該株式移転後に当該株式移転に係る株式移転完全親法人と株式移転完全子法人及び他の株式移転完全子法人との間に当該同一の者による完全支配関係が継続することが見込まれている場合における当該株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間の関係
A 一の法人のみがその株式移転完全子法人となる株式移転(単独株式移転)で、当該株式移転後に当該株式移転に係る株式移転完全親法人と株式移転完全子法人との間に当該株式移転完全親法人による完全支配関係が継続することが見込まれている場合における当該株式移転
完全支配関係 (法2@十二の七の六、令4の2A)
完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する@Aの関係(以下、当事者間の完全支配の関係といいます。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいいます。
@ 一の者が法人の発行済株式等の全部を保有する場合におけるその一の者とその法人との間の関係(直接完全支配関係)
A その一の者及びこれとの間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人又はその一の者との間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人が他の法人の発行済株式等の全部を保有するときは、その一の者はその他の法人の発行済株式等の全部を保有するものとみなされます。
※ 一の者にはその者が個人である場合には、その者及びこれと特殊の関係のある個人を含みます。
※ 法人の発行済株式等はその法人が有する自己の株式又は出資を除いた発行済株式若しくは出資をいい、発行済株式の総数のうちに従業員持株会所有株式と役員または使用人のストックオプション行使による所有株式の合計が5%未満のその株式を除きます。
(注2) 支配関係継続要件
支配関係継続要件は次の@又はAの場合をいいます。(法2十二の十七ロ、令4の3R)
@ 株式移転前に当該株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間にいずれか一方の法人による支配関係があり、かつ、当該株式移転後に当該株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間に当該株式移転に係る株式移転完全親法人による支配関係が継続することが見込まれている場合における当該株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間の関係(次のAに掲げる関係に該当するものを除きます。)
A 株式移転前に当該株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間に同一の者による支配関係があり、かつ、当該株式移転後に当該株式移転に係る株式移転完全親法人と株式移転完全子法人及び他の株式移転完全子法人との間に当該同一の者による支配関係が継続することが見込まれている場合における当該株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間の関係
支配関係 (法2@十二の七の五、令4の2@)
支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の総数若しくは総額の100分の50を超える数若しくは金額の株式等を直接若しくは間接に保有する@Aの関係(当事者間の支配の関係)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいいます。
@ 一の者が法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有する場合におけるその一の者と法人との間の関係(直接支配関係)。
A その一の者及びこれとの間に直接支配関係がある1若しくは2以上の法人又はその一の者との間に直接支配関係がある一若しくは二以上の法人が他の法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有するときは、その一の者はその他の法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有するものとみなされます。
※ 一の者にはその者が個人である場合には、その者及びこれと特殊の関係のある個人を含みます。
※ 発行済株式等とはその法人が有する自己の株式又は出資を除いた発行済株式若しくは出資をいいます。
(注3) 共同事業要件
共同で事業を営む場合の適格株式移転とは完全支配関係の株式移転又は支配関係の株式移転以外の株式移転のうち、次に掲げる要件(当該株式移転に係る株式移転完全子法人(以下、子法人といいます)の株主の数が50人以上である場合には、一から四まで及び六に掲げる要件)の全てに該当するものをいいます。(法2十二の十七ハ、令4の3S)
一 事業関連要件
子法人事業と他の子法人事業とが相互に関連するものであること。
二 事業規模要件又は特定役員引継ぎ要件
@子法人事業と他の子法人事業のそれぞれの売上金額、従業者の数若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないこと。
A又は当該株式移転前の子法人又は他の子法人の特定役員のいずれかが当該株式移転に伴つて退任をするものでないこと。
三 従業者引継ぎ要件
株式移転に係る子法人又は他の子法人の当該株式移転の直前の従業者のうち、その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が当該子法人の業務に引き続き従事することが見込まれていること
四 事業継続要件
株式移転に係る子法人事業又は他の子法人事業(相互に関連する事業に限ります。)がそれぞれの子法人において引き続き営まれることが見込まれていること
五 株式継続保有要件
株式移転の直前の当該株式移転に係る子法人又は他の子法人の株主で当該株式移転により交付を受ける当該株式移転に係る株式移転完全親法人の株式(議決権のないものを除きます。)の全部を継続して保有することが見込まれる者が有する当該子法人又は他の子法人の株式(議決権のないものを除きます。)の数を合計した数が、それぞれ当該子法人又は他の子法人の発行済株式等(当該他の子法人又は子法人が有するもの及び議決権のないものを除きます。)の総数の100分の80以上であること。
六 完全支配関係継続要件
株式移転後に当該株式移転に係る子法人と他の子法人との間に当該株式移転に係る株式移転完全親法人による完全支配関係が継続することが見込まれていること。
■新着経営情報 ■過去ファイル
|