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会社の税金 - 株式交換①


2015/8/1  菊 池 芳 平

はじめに
 株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社に取得させることを株式交換といいます。(会社法2①三十一)
株式交換により、完全親子会社が形成されることとなりますが、親会社となる会社が既存の会社である点で株式移転と異なります。(親会社が新設会社である場合は株式移転といいます。)

 法人税法では、株式交換によりその株主の有する株式を他の法人に取得させた場合の当該株式を発行した法人を株式交換完全子法人といい、株式交換により他の法人の株式を取得したことによつて当該法人の発行済株式の全部を有することとなつた法人を株式交換完全親法人といいます。(法2①十二の六の三、十二の六の四)

適格株式交換の要件 
 適格株式交換とは次のイ、ロ、ハのいずれかに該当する株式交換で株式交換完全子法人の株主に株式交換完全親法人の株式又は株式交換完全支配親法人株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないもの(金銭等不交付要件)をいいます。(法2①十二の十六)
 ① この場合の株式交換完全支配親法人株式とは、
株式交換の直前に当該株式交換に係る株式交換完全親法人と当該株式交換完全親法人以外の法人との間に当該法人による直接完全支配関係(いずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を保有する関係をいいます。)があり、
かつ、
当該株式交換後に当該株式交換完全親法人と当該法人(親法人)との間に当該親法人による直接完全支配関係が継続することが見込まれている場合における当該株式交換に係る株式交換完全親法人と親法人との間の関係をいいます。


  ② 株式以外の資産が交付されないもの(金銭等不交付要件)には、当該株主に対する剰余金の配当として交付される金銭その他の資産及び株式交換に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産が除かれます。


イ 完全支配関係が継続する株式交換(注1)

ロ 支配関係が継続しかつ次に掲げる要件の全てに該当するもの(注2)
①おおむね100分の80以上の従業者が引き続き引き続き株式交換完全子法人の業務に従事
②主要な事業が株式交換後も継続営業
 
ハ 共同で事業を営む場合の株式交換(注3)

(注1)完全支配関係の株式交換
 完全支配関係の株式交換とは、次に掲げるいずれかの関係をいいます。(法令4の3⑭)
一 株式交換前に当該株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人による完全支配関係があり、かつ、当該株式交換後に当該株式交換完全親法人が当該株式交換完全子法人の発行済株式等の全部を保有する関係が継続することが見込まれている場合における当該株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間の関係

二 株式交換前に当該株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に同一の者による完全支配関係があり、かつ、当該株式交換後に当該株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に当該同一の者による完全支配関係が継続することが見込まれている場合における当該株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間の関係

 
完全支配関係 (法2①十二の七の六、令4の2②)

 完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する①②の関係(以下、当事者間の完全支配の関係といいます。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいいます。

 ① 一の者が法人の発行済株式等の全部を保有する場合におけるその一の者とその法人との間の関係(直接完全支配関係)

 ② その一の者及びこれとの間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人又はその一の者との間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人が他の法人の発行済株式等の全部を保有するときは、その一の者はその他の法人の発行済株式等の全部を保有するものとみなされます。

 ※ 一の者にはその者が個人である場合には、その者及びこれと特殊の関係のある個人を含みます。
 ※ 法人の発行済株式等はその法人が有する自己の株式又は出資を除いた発行済株式若しくは出資をいい、発行済株式の総数のうちに従業員持株会所有株式と役員または使用人のストックオプション行使による所有株式の合計が5%未満のその株式を除きます。

(注2)支配関係の株式交換
 支配関係の株式交換とは、次に掲げるいずれかの関係をいいます。(法令4の3⑮)
一 株式交換前に当該株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間にいずれか一方の法人による支配関係があり、かつ、当該株式交換後に当該株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間にいずれか一方の法人による支配関係が継続することが見込まれている場合における当該株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間の関係
二 株式交換前に当該株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に同一の者による支配関係があり、かつ、当該株式交換後に当該株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に当該同一の者による支配関係が継続することが見込まれている場合における当該株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間の関係

 支配関係 (法2①十二の七の五、令4の2①)

 支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の総数若しくは総額の100分の50を超える数若しくは金額の株式等を直接若しくは間接に保有する①②の関係(当事者間の支配の関係)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいいます。

 ① 一の者が法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有する場合におけるその一の者と法人との間の関係(直接支配関係)。

 ② その一の者及びこれとの間に直接支配関係がある1若しくは2以上の法人又はその一の者との間に直接支配関係がある一若しくは二以上の法人が他の法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有するときは、その一の者はその他の法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有するものとみなされます。

 ※ 一の者にはその者が個人である場合には、その者及びこれと特殊の関係のある個人を含みます。
 ※ 発行済株式等とはその法人が有する自己の株式又は出資を除いた発行済株式若しくは出資をいいます。
 

(注3)共同で事業を営む場合の株式交換
 共同で事業を営む場合の株式交換とは完全支配関係の株式交換又は支配関係の株式交換以外の株式交換のうち、次に掲げる要件の全てに該当するものをいいます。(法令4の3⑯)

一 事業関連要件
 子法人事業と親法人事業とが相互に関連するものであること。

二 事業規模要件又は特定役員引継ぎ要件
 ①子法人事業と親法人事業のそれぞれの売上金額、従業者の数若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないこと。
 ②又は当該株式交換前の当該株式交換完全子法人の特定役員のいずれかが当該株式交換に伴つて退任をするものでないこと。

三 従業者引継ぎ要件
 株式交換に係る株式交換完全子法人の当該株式交換の直前の従業者のうち、その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が当該株式交換完全子法人の業務に引き続き従事することが見込まれていること

四 事業継続要件
 株式交換に係る株式交換完全子法人の子法人事業(親法人事業と関連する事業に限ります。)が当該株式交換完全子法人において引き続き営まれることが見込まれていること

五 株式継続保有要件
 株式交換の直前の当該株式交換に係る株式交換完全子法人の株主で当該株式交換により交付を受ける当該株式交換に係る株式交換完全親法人の株式又は株式交換完全支配親法人株式のいずれか一方の株式(議決権のないものを除きます。)の全部を継続して保有することが見込まれる者及び当該株式交換に係る株式交換完全親法人(当該株式交換に係る株式交換完全子法人の株主が当該株式交換により株式交換完全支配親法人株式の交付を受ける場合にあつては、その親法人を含みます。)が有する当該株式交換完全子法人の株式(議決権のないものを除きます。)の数を合計した数が当該株式交換完全子法人の発行済株式等(当該株式交換完全親法人によりその発行済株式等の総数の100分の50を超える数の株式を保有されている法人が有するもの及び議決権のないものを除きます。)の総数の100分の80以上であること。

六 完全支配関係継続要件
 株式交換後に当該株式交換に係る株式交換完全親法人と当該株式交換に係る株式交換完全子法人との間に当該株式交換完全親法人による完全支配関係が継続することが見込まれていること



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