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会社の税金−寄付金

2014/8/1  菊 池 芳 平


はじめに
 その支出が、名義のいかんを問わず、直接の対価性のない支出であれば寄付金に該当します。
寄付金には法人の事業に関連性を有し、その収益を生み出すのに必要な経費といえるものと、 そうではなく単なる利益処分の性質を有するにすぎないものとがあります。
しかし、具体的事例において法人が寄付金として支出した金銭等がそのいずれに当たるかを判定することは困難であることから、法人税法は擬制的に損金算入限度額の制度を定めています。
(参考:鳥取地裁昭和57年6月24日判決)

1.寄付金の額(法37F)
 寄附金の額は、
寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、
金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除きます。)をした場合における
当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額をいいます。

 法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、
その譲渡又は供与の対価の額が
当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、
当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、寄附金の額に含まれます。

2.寄附金の損金算入限度額(法37@)
 法人が各事業年度において支出した寄附金の額(完全支配関係がある法人間の寄附金の額を除きます。)の合計額のうち、
その法人の当該事業年度終了の時の資本金等の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、
当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されません。

3.完全支配関係がある法人間の寄付金の損金不算入と受贈益の益金不算入(法37A)(法25の2@) 
 法人が各事業年度において当該法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限ります。)がある他の法人に対して支出した寄附金の額(法人税法25条の2(受贈益の益金不算入)の規定を適用しないとした場合に各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される受贈益の額に対応するものに限ります。) は、当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されません。
 この場合のその寄付金をうけた法人のその寄付金の額に対応する受贈益の額(法人税法37条(寄附金の損金不算入)の規定を適用しないとした場合に各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される寄附金の額に対応するものに限ります。) は益金の額に算入されません。

4.子会社等を整理する場合の損失負担等(法基通9−4−1)
 法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(損失負担等)をした場合において、
その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、
その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとされます。

(注) 子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれます(以下9-4-2において同じ。)。

5.子会社等を再建する場合の無利息貸付け等(法基通9−4−2)
 法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(無利息貸付け等)をした場合において、
その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、
その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとされます。

(注) 合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断しますが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱われます。

6. 個人の負担すべき寄附金(法基通9-4-2の2)
 法人が損金として支出した寄附金で、その法人の役員等が個人として負担すべきものと認められるものは、その負担すべき者に対する給与とします。

7.仮払経理した寄附金(法基通9-4-2の3)
 法人が各事業年度において支払った寄附金の額を仮払金等として経理した場合には、当該寄附金はその支払った事業年度において支出したものとして法第37条第1項又は第2項《寄附金の損金不算入》の規定を適用します。



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