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会社の税金 - 交際費の損金算入(限度計算)


2014/5/1  菊 池 芳 平


交際費等の損金算入の限度計算
 交際費等については種々の政策的な見地(冗費濫費の弊害防止、自己資本の充実蓄積等)からその損金算入に一定の制限がかけられています。
 その制限は、次に述べるように期末資本金1億円超の法人と1億円以下の法人とで異なっています。

1.期末資本金1億円超の法人

 法人が平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において支出する交際費等の額のうち接待飲食費の額の100分の50に相当する金額以下の金額は当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入できますが、それ以外の100分の50を超える金額は、損金の額に算入しないことになっています。(措法第61条の4@)
 


2.期末資本金1億円以下の法人(注)
 期末資本金が1億円以下の法人は、@交際費等の額のうち、800万円×事業年度の月数/12 以下の金額は損金の額に算入されそれを超える部分の金額は損金の額に算入しない定額控除限度額方式と、A上記1.の原則方式との選択適用となっています。(この場合の月数は、暦に従って計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とされます。(措法第61条の4AB)
 (注)資本金の額等が5億円以上の大法人による完全支配関係がある普通法人又は完全支配関係がある複数の大法人に発行株式等の全部を保有されている普通法人を除きます。
 (注)定額控除限度額方式の規定は、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に定額控除限度額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用されます。(措法第61条の4D)

交際費等と接待飲食費の取扱い
 上記のとおり、接待飲食費の金額は期末資本金1億円超の法人の損金不算入の計算の基礎となります。
 これに対して交際費等の金額は期末資本金が1億円以下の法人の定額控除限度額方式の計算の基礎とされます。

交際費等の意義
 交際費の税務のポイントは交際費等と他の費用との区分にあります。
 交際費等は税法上、交際費、接待費、機密費その他の費用をいいますが、社会通念上の交際費よりも広い概念として租税特別措置法に規定されおり、さらに措置法通達が参考になります。

 まず、租税特別措置法(以下措置法といいます)に規定する交際費等ですが、措置法本文では
 交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為である接待等のために支出するもので次に掲げる費用のいずれかに該当するもの以外をいうと規定されています。(措法第61条の4C)

 その交際費等から除かれるものとして
第一に、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用は福利厚生費として除かれます。(措法第61条の4C一)

第二に、社内飲食費以外の飲食費であって、飲食その他これに類する行為のために要する費用として支出する金額を当該費用に係る飲食その他これに類する行為に参加した者の数で除して計算した金額が5000円以下の費用(ただし、財務省令で定める書類を保存している場合に限りります。) が除かれます。(措法第61条の4C二)

第三に、少額広告宣伝費として、カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用が除かれます。(措令第37条の5A一)

第四に、会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用は会議費(会議関連費)として除かれます。(措令第37条の5A二)

第五に、新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用が取材費として除かれます。(措令第37条の5A三)

 得意先、仕入先その他事業に関係のある者等がどこまでの範囲を指すのかについて、措置法通達では 
交際費等の支出の相手方である「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」には、直接当該法人の営む事業に取引関係のある者だけでなく間接に当該法人の利害に関係ある者及び当該法人の役員、従業員、株主等も含む旨述べています。 (措通61の4(1)-22)
 従って、社員又は役員若しくは株主等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為も交際費等の範囲になることに注意が必要です。


接待飲食費の意義
 平成26年度改正措置法では接待飲食費というキーワードが条文に明記されました。
 接待飲食費は、条文で 「交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する社内接待費のために支出するものを除きます。)で、その旨につき財務省令で定めるところにより明らかにされているものをいう。」(措法第61条の4C)と規定しています。

措置法通達上の交際費等と他の費用との区分
 このように交際費等と他の費用の区分について措置法法規に規定があるわけですが、実務の運用の面では取扱い者の恣意性により、その区分けに公平性が阻害される場面が多々あるのが実情です。そこで次回以降は特に重要と思われる措置法通達と判例を参考に交際費等の具体例をみていきたいと思います。



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