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不動産の税金−不動産取得税
2013/8/1 菊 池 芳 平
不動産取得税の計算
法人・個人を問わず、不動産取得税の納付税額は取得した不動産の価格(課税標準額)に税率を乗じた額です。
不動産の価格(課税標準額)(注1)(注2)(注3)×税率(注4)=納める額(注5)
不動産取得税の課税標準(第73条の13)(注1)
不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における不動産の価格とされますが、家屋の改築をもつて家屋の取得とみなした場合に課する不動産取得税の課税標準は、その改築に因り増加した価格とされています。
この課税標準は、具体的には市町村の固定資産課税台帳をいいますが、固定資産課税台帳に登録されていない不動産は、総務大臣が定めた固定資産評価基準により評価、決定されます。
不動産の価格の決定等(第73条の21)
道府県知事は、固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については、その価格によりその不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする。但し、その不動産について増築、改築、損かい、地目の変換その他特別の事情がある場合においてその固定資産の価格により難いときは、この限りでない。
2 道府県知事は、固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は前項但書の規定に該当する不動産については、第388条第1項の固定資産評価基準によつて、その不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする。 |
不動産取得税の課税標準の特例(第73条の14)(注2)
1.住宅の建築(新築された住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないものの購入を含むものとし、政令で定めるものに限ります。) をした場合のその住宅の取得に対して課する不動産取得税の課税標準は、一戸につき1200万円(共同住宅、寄宿舎その他これらに類する多数の人の居住の用に供する住宅(以下「共同住宅等」といいます。)にあつては、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分で政令で定めるものにつき1200万円) を価格から控除するものとされています。
2.共同住宅等以外の住宅の建築(新築された住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないものの購入を含みます。以下同じ。) をした者が、その住宅の建築後1年以内にその住宅と一構となるべき住宅を新築し、又はその住宅に増築した場合にあつては、前後の住宅の建築をもつて一戸の住宅の建築とみなして上記1の規定が適用されます。
3 個人が自己の居住の用に供する既存住宅(新築された住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないもの以外の住宅で政令で定めるものをいいます。) を取得した場合のその住宅の取得に対して課する不動産取得税の課税標準は、一戸につき、その住宅が新築された時において施行されていた各年度ごとに決められた地方税法第73条の14第1項の規定により控除するものとされていた額を価格から控除するものとされています。
不動産取得税の課税標準の特例の住宅の建築(地令第37条の16)
不動産取得税の課税標準の特例(第73条の14第1項)に規定する住宅の建築で政令で定めるものは、次の各号に掲げる住宅の建築の区分に応じ、その各号に定める住宅の建築とされています。
一 共同住宅等以外の住宅の建築
その建築に係る住宅の床面積(区分所有される住宅にあつては、居住の用に供する専有部分の床面積とし、その専有部分の属する建物に共用部分があるときは、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合によりその共用部分の床面積をあん分して得た面積をその専有部分の床面積に算入するものとします。)が50平方メートル(その専有部分が貸家の用に供されるものである場合にあつては、40平方メートル)
以上240平方メートル以下の住宅の建築
二 共同住宅等の住宅の建築
その建築に係る住宅の居住の用に供するために独立的に区画された一の部分のいずれかの床面積(その住宅に共同の用に供される部分(その住宅が区分所有される住宅である場合には、その住宅に係る共用部分を含む。)があるときは、これを共用すべき独立的に区画された各部分の床面積の割合によりその共同の用に供される部分の床面積を配分して、それぞれその各部分の床面積に算入するものとする。)が、50平方メートル(その独立的に区画された一の部分が貸家の用に供されるものである場合にあつては、40平方メートル)以上240平方メートル以下の住宅の建築
居住の用に供するために独立的に区画された一の部分(地税令第37条の17)
不動産取得税の課税標準の特例(第73条の14第1項)に規定する居住の用に供するために独立的に区画された一の部分で政令で定めるものは、その建築に係る住宅の居住の用に供するために独立的に区画された一の部分でその床面積が50平方メートル(その独立的に区画された一の部分が貸家の用に供されるものである場合にあつては、40平方メートル)
以上240平方メートル以下のものとされています。
既存住宅の場合(地税令第37条の18)
既存住宅(法第73条の14第3項に規定する新築された住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないもの以外の住宅)で政令で定めるものは、次の各号に掲げるいずれかの要件に該当する住宅でその床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下のものとなります。
一 その住宅の取得の日前20年(登記簿に記録されたその住宅の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造その他の総務省令で定めるものである住宅にあつては、25年)の期間内に新築されたものであること。
二 昭和57年1月1日以後に新築されたものであること。
三 建築基準法施行令第3章及び第5章の4の規定又は国土交通大臣が総務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合することにつき総務省令で定めるところにより証明がされたものであること。
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宅地評価土地の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の特例(地方附則第11条の5) (注3)
宅地評価土地(宅地及び宅地比準土地(宅地以外の土地でその土地の取得に対して課する不動産取得税の課税標準となるべき価格が、その土地とその状況が類似する宅地の不動産取得税の課税標準とされる価格に比準する価格によつて決定されるものをいう。)をいいます。) を取得した場合におけるその土地の取得に対して課する不動産取得税の課税標準は、第73条の13第1項の規定にかかわらず、その取得が平成27年3月31日までの間に行われた場合に限り、その土地の価格の2分の1の額となります。
不動産取得税の税率(第73条の15)(地方附則第11条の2)(注4)
不動産取得税の標準税率は、原則として100分の4ですが、平成27年3月31日までの間に住宅又は土地の取得が行われた場合にかぎり不動産取得税の標準税率は、第73条の15の規定にかかわらず、100分の3となっています。 (非住宅は100分の4)
住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額(第73条の24)(注5)
道府県は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その土地の取得に対して課する不動産取得税については、その税額から150万円 (その土地に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格をその土地の面積の平方メートルで表した数値で除して得た額にその土地の上に新築した住宅(政令で定める住宅に限る。以下この項及び次項において「特例適用住宅」という。)一戸について(共同住宅等にあつては、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分で政令で定めるものについて)その床面積の2倍の面積の平方メートルで表した数値(その数値が200を超える場合においては、200とする。)を乗じて得た金額が150万円を超えるときは、その乗じて得た金額)
に税率を乗じて得た額を減額するものとされています。
※ 従って軽減される額は以下のいずれか高い方の金額となります。
ア 150万円×3%=45,000円(税額が45,000未満となった場合はその税額)
イ 土地1u当たりの価格(注)×住宅の床面積の2倍(1戸当たり200uが限度)×税率(3%)
(注)平成27年3月31日までの宅地等の取得は価格を2分の1にした後の1u当たりの額
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一 土地を取得した日から2年以内にその土地の上に特例適用住宅が新築された場合(その取得をした者(以下この号において「取得者」という。)がその土地をその特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又はその特例適用住宅の新築がその取得者からその土地を取得した者により行われる場合に限る。)
二 土地を取得した者がその土地を取得した日前1年の期間内にその土地の上に特例適用住宅を新築していた場合
三 新築された特例適用住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないもの及びその特例適用住宅に係る土地をその特例適用住宅が新築された日から1年以内に取得した場合
2 道府県は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その土地の取得に対して課する不動産取得税については、その税額から150万円(その土地に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格をその土地の面積の平方メートルで表した数値で除して得た額にその土地の上にある既存住宅等(既存住宅及び新築された特例適用住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないもののうちその特例適用住宅に係る土地について前項の規定の適用を受けるもの以外のものをいう。以下この項において同じ。)一戸についてその床面積の2倍の面積の平方メートルで表した数値(その数値が200を超える場合においては、200とする。)を乗じて得た金額が150万円を超えるときは、その乗じて得た金額)に税率を乗じて得た額を減額するものとされています。
一 土地を取得した者がその土地を取得した日から1年以内にその土地の上にある自己の居住の用に供する既存住宅等を取得した場合
二 土地を取得した者がその土地を取得した日前1年の期間内にその土地の上にある自己の居住の用に供する既存住宅等を取得していた場合
3 土地を取得した者がその土地を取得した日から1年以内にその土地に隣接する土地を取得した場合は、前後の取得に係る土地の取得をもつて一の土地の取得と、最初に土地を取得した日をもつてこれらの土地を取得した日とみなして、前2項の規定を適用します。
不動産取得税の納期(第73条の16)
不動産取得税の納期は、その道府県の条例の定めるところによるとされており、納税通知書に記載された納期限までに、金融機関や郵便局などに納付することになります。
不動産取得税の注意点
不動産取得税の非課税の範囲には、国等に対する非課税(法73の3)、用途非課税(法73の4)、形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税(法73の7)等があります。
ここでは、相続等による取得等の場合の非課税についてその規定の一部をご紹介します。
形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税(第73条の7)
道府県は、次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
一 相続による不動産の取得
二 法人の合併又は分割による不動産の取得
二の二 法人が新たに法人を設立するために現物出資を行う場合における不動産の取得
二の三 共有物の分割による不動産の取得(当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分の取得を除く。)
二の四 会社更生法第183条、更生特例法第103条第1項又は更生特例法第272条の規定により更生計画において株式会社、協同組織金融機関又は相互会社から新株式会社、新協同組織金融機関又は新相互会社に移転すべき不動産を定めた場合における新株式会社、新協同組織金融機関又は新相互会社の当該不動産の取得
三 委託者から受託者に信託財産を移す場合における不動産の取得
四 信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託により受託者から当該受益者に信託財産を移す場合における不動産の取得
四の二 資産の流動化に関する法律第2条第13項に規定する特定目的信託で一定の要件を満たすものの原委託者が、当該特定目的信託の信託財産に属する不動産を当該特定目的信託に係る信託契約の終了の時に買い戻す場合における当該不動産の取得
五 信託の受託者の変更があつた場合における新たな受託者による不動産の取得
五の二 相続税法第46条第1項の規定による承認に基づき物納の許可があつた不動産をその物納の許可を受けた者に移す場合における不動産の取得
六 建物の区分所有等に関する法律第2条第3項の専有部分の取得に伴わない同条第4項の共用部分である家屋の取得(当該家屋の建築による取得を除く。)
七 保険業法の規定によつて会社がその保険契約の全部の移転契約に基づいて不動産を移転する場合における不動産の取得
八 譲渡により担保の目的となつている財産(譲渡担保財産)により担保される債権の消滅により当該譲渡担保財産の設定の日から2年以内に譲渡担保財産の権利者(譲渡担保権者)から譲渡担保財産の設定者に当該譲渡担保財産を移転する場合における不動産の取得
九〜二十 略 |
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