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債務者の税金対策 F期限切れ欠損金の活用(会社更生の場合)
2012/10/1 菊 池 芳 平
窮境にある株式会社について、会社更生法の規定による更生手続開始の決定があると、更生計画による権利の変更が行われます。
更生計画の権利の変更により発生した債務免除等の益金に課税されると、会社再建等に影響がでてきます。
そこで、法人税法では、一定の要件のもとに債務免除等による利益の合計額に達するまで期限切れ欠損金の損金算入を認めています。
会社更生の場合の期限切れ欠損金の損金算入の要件は以下のとおりです。
1.要 件
(1) 内国法人について更生手続開始の決定があつた場合において、
(2) その内国法人が次に掲げる債務免除や役員等からの贈与、資産の評価替え(以下債務免除等といいます。)をした場合に該当するときは、
(3) その該当することとなつた日の属する事業年度(「適用年度」といいます。) 前の各事業年度において生じた欠損金額の合計額(法人税申告書別表5(1)の「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」に期首現在利益積立金額として記載されるべき金額) のうち
(4) 次に掲げる債務免除等による利益の合計額に達するまでの金額は、
(5) 当該適用年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができます。(法59@)
一 当該更生手続開始の決定があつた時においてその内国法人に対し政令で定める債権を有する者(当該内国法人との間に連結完全支配関係がある連結法人を除く。)から当該債権につき債務の免除を受けた場合(当該債権が債務の免除以外の事由により消滅した場合でその消滅した債務に係る利益の額が生ずるときを含む。)
・・・・ その債務の免除を受けた金額(当該利益の額を含みます。)
二 当該更生手続開始の決定があつたことに伴いその内国法人の役員等(役員若しくは株主等である者又はこれらであつた者をいい、当該内国法人との間に連結完全支配関係がある連結法人を除く。次項第2号において同じ。)から金銭その他の資産の贈与を受けた場合
・・・・ その贈与を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額
三 第25条第2項(会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定に従つて行う評価換えに係る部分に限る。以下この号において同じ。)(資産の評価益の益金不算入等)に規定する評価換えをした場合
・・・・ 同項の規定により当該適用年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される金額(第33条第3項(資産の評価損の損金不算入等)の規定により当該適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される金額がある場合には、当該益金の額に算入される金額から当該損金の額に算入される金額を控除した金額)
(6) この規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書にこれらの規定により損金の額に算入される金額の計算に関する明細を記載した書類及び更生手続開始の決定があつたこと若しくは再生手続開始の決定があつたこと若しくは政令で定める事実が生じたことを証する書類又は残余財産がないと見込まれることを説明する書類その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用されます。(法令59C )
(7) 財務省令で定める書類の添付がない確定申告書、修正申告書又は更正請求書の提出があつた場合においても、その書類の添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、この規定を適用することができるとされています。(法令59D )
2.会社更生等の場合の欠損金額の範囲
法第59条第1項 (会社更生等による債務免除等があつた場合の欠損金の損金算入)に規定する欠損金額で政令で定めるものとは、同項に規定する適用年度終了の時における前事業年度以前の事業年度から繰り越された欠損金額(同項に規定する個別欠損金額を含む。)の合計額をいいます。(法令116条の3)
【 前事業年度以前の事業年度から繰り越された欠損金額の合計額とは 】
令第116条の3第1号《会社更生等の場合の欠損金額の範囲》、に規定する「前事業年度以前の事業年度から繰り越された欠損金額(同項に規定する個別欠損金額を含む。)の合計額」とは、当該事業年度の確定申告書に添付する法人税申告書別表5(1)の「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」に期首現在利益積立金額の合計額として記載されるべき金額で、当該金額が負(マイナス)である場合の当該金額によります。(法基通12-3-2)
3.会社更生等の場合の債権の範囲
法第59条第1項第1号(会社更生等による債務免除等があつた場合の欠損金の損金算入)に規定する政令で定める債権は、会社更生法第2条第8項の定義に規定する更生債権(同条第10項に規定する更生担保権及び同法に規定する共益債権で更生手続開始の決定があつた場合の当該更生手続開始前の原因に基づいて生じたものを含む。) 並びに金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第4条第8項及び第169条第8項(定義)に規定する更生債権(同法第4条第10項及び第169条第10項に規定する更生担保権並びに同法に規定する共益債権で更生手続開始の決定があつた場合の当該更生手続開始前の原因に基づいて生じたものを含む。)をいいます。(法令116条の4)
4.債務の免除以外の事由による消滅の意義
法第59条第1項第1号又は第2項第1号《会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入》に規定する「当該債権が債務の免除以外の事由により消滅した場合」とは、次に掲げるような場合がこれに該当するとされています。(法基通12-3-6)
(1) 会社更生法又は金融機関等の更生手続等の更生手続きの特例等に関する法律(更生特例法)の規定により、法第59条第1項第1号に規定する債権を有する者が、更生計画の定めに従い、同項に規定する内国法人に対して募集株式若しくは募集新株予約権の払込金額又は出資額若しくは基金の拠出の額の払込みをしたものとみなされた場合
(2) 会社更生法又は更生特例法の規定により、法第59条第1項に規定する内国法人が、更生計画の定めに従い、同項第1号に規定する債権を有する者に対して当該債権の消滅と引換えに、株式若しくは新株予約権の発行又は出資の受入れ若しくは基金の拠出の割当てをした場合
(3) 法第59条第2項に規定する内国法人が、同項第1号に規定する債権を有する者から当該債権の現物出資を受けることにより、当該債権を有する者に対して募集株式又は募集新株予約権を発行した場合
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