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債務者の税金対策 @滞納、督促、差押え



2012/4/1  菊 池 芳 平


税金を滞納すると
 税金の滞納はキャッシュフローの悪化を原因とする場合や単なる期限の徒過による場合、災害その他やむを得ない理由による場合等が考えられます。
 税金を滞納すると納税の催告として督促が行われますが、それでも納付がない場合は、国税通則法及び国税徴収法の規定によって差押え、換価、配当といった滞納処分が行われます。
 
督促はどのように行われるか
 日常の忙しい業務に追われてつい税金の納付期限を見過ごしたりすると、後日督促状なるものが送付されてくることは上記で述べたとおりです。
 督促状はご承知のように税金の納付を催告する書面ですが、この督促状を見過ごすとあとで大変なことになります。 それはあなたの会社の財産が差押えられる可能性があるからです。このことは督促状の裏面に書かれているのでわかります。

 国税通則法によると、納税者がその国税を納期限までに完納しない場合は、税務署長は、その国税が繰上請求等の一定の場合を除いて、その納税者に対し、督促状によりその納付を督促しなければならないとされています。(国通37@)

国税通則法
 第37条 督促
 納税者がその国税を第35条(申告納税方式による国税の納付)又は前条第2項の納期限(予定納税に係る所得税については、所得税法第104条第1項、第107条第1項又は第115条(予定納税額の納付)(これらの規定を同法第166条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)の納期限とし、延滞税及び利子税については、その計算の基礎となる国税のこれらの納期限とする。以下「納期限」という。)までに完納しない場合には、税務署長は、その国税が次に掲げる国税である場合を除き、その納税者に対し、督促状によりその納付を督促しなければならない。
一 次条第1項若しくは第3項又は国税徴収法第159条(保全差押)の規定の適用を受けた国税
二 国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている国税
2 前項の督促状は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、その国税の納期限から50日以内に発するものとする。
3 第1項の督促をする場合において、その督促に係る国税についての延滞税又は利子税があるときは、その延滞税又は利子税につき、あわせて督促しなければならない。

第40条 滞納処分
 税務署長は、第37条(督促)の規定による督促に係る国税がその督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納されない場合、第38条第1項(繰上請求)の規定による請求に係る国税がその請求に係る期限までに完納されない場合その他国税徴収法に定める場合には、同法その他の法律の規定により滞納処分を行なう。

 この督促状は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除いて、その国税の納期限から50日以内に発することとされているわけですが(国通37A)、その督促に係る国税についての延滞税又は利子税があるときは、その延滞税又は利子税についても、あわせて督促しなければならないこととなっています。(国通37B)
 
 督促によっても一定期間内
その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までにその納付がない場合は、税務署長によって、強制的に差押えその他の滞納処分の手続きに移行します。(国通40条)

 督促は民事執行法第29条の強制執行における債務名義の送達に相当しますが、納付の催告と差押えの前提要件の効果をもっているとされています。

滞納処分による差押えとは
 滞納処分は滞納国税を強制的に実現する手続きですので、裁判所の関与なしで徴収職員の自力執行権によって執行されます。(国徴182)
 狭義の滞納処分は、差押え、換価、配当の一連の手続きをいいますが、広義では交付要求と参加差押えも含みます。

@差押え
滞納者の財産の処分を禁止するために行われるもので、Aの換価のための前提となる手続きをいいます。
A換価
差し押さえた財産を売却(公売、随意契約による売却、国による買入れ)または債権の取立てにより強制的に換金する手続きをいいます。
B配当
換金された金銭を差押え国税その他一定の債権に配当するための手続きをいいます。

差押の要件は以下のとおりです。

国税徴収法
 第5章滞納処分 
第47条
差押えの要件  
次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないとき。
二  納税者が国税通則法第37条第1項 各号(督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、当該請求に係る期限)までに完納しないとき。
2  国税の納期限後前項第1号に規定する10日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき国税通則法第38条第1項 各号(繰上請求)の一に該当する事実が生じたときは、徴収職員は、直ちにその財産を差し押えることができる。
3  第二次納税義務者又は保証人について第1項の規定を適用する場合には、同項中「督促状」とあるのは、「納付催告書」とする。

対 策 
 実務的には差押えの開始要件が充たされたとしても直ちに差押えをするとは限らないようですが、しかし任意納付を促してもなお納付が期待できない場合には滞納処分が実行されるので、滞納処分の可能性が発生した場合は税務当局にその事情を説明し、対策を立てることが必要でしょう。

 なお、災害その他やむを得ない理由により納期限までに納付ができない場合は、一定の要件により国税通則法による期限の延長や納税の猶予(5月・6月・7月掲載予定)が受けられるので申請を検討しましょう。
 

 

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