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住宅ローン改善対策 

(リストラクチャリング個人編)


2009/11/30  菊 池 芳 平 



 勤め先の業績悪化で収入が減っている住宅ローン利用者が目立ち始めています。ここにきて住宅ローン

の返済猶予を盛り込んだ金融円滑化法が本日30日午前の参院本会議で、可決、成立しました。

 本ページでは住宅ローンの返済が困難になった場合の解決法について検討します。

 2009年10月10日の日本経済新聞では以下の解決方法を紹介しています。

1.月々の収支を見直し、不要不急の支出のカット

2.返済期間を延長するなど条件変更

3.消費者金融やカード会社からの借金を整理。過払い金があれば返還請求

4.家を手放し、売却額を返済に充てる

5.自己破産し、借金ゼロで再出発


 ここでは家を手放すことなく経済生活の再構築を図る上記1.2.3.について考えてみます。

基本的には1.の月々の収支を見直し、不要不急の支出のカットで家計の収支を改善することがコストも手

間もかからない一番良い方法であると思います。 しかし家計の努力でどうしても解決できない場合は、2.

の返済期間を延長するなど条件変更のお願いに金融機関に出向く方法をとります。 この方法の要点は返

済困難故に消費者金融の高利な借入を利用しないための一時的対処方法であることです。将来かならず家

計の収支を改善して返済を履行する強い意志と計画をもって借入金融機関に条件変更のお願いをします。

やむをえず消費者金融等から借りてしまった場合のいわゆる多重債務に陥った場合は、3番の消費者金融

やカード会社からの借金を整理。過払い金があれば返還請求の対策になります。

 それでは、対処法を検討してみましょう。




1.月々の収支を見直し、不要不急の支出のカット
 
 まずは家計の状況を把握します。収入と支出の細目を月ごとに紙に書いてみます。それから収入の今後

の動向を書きます。楽観的な場合と悲観的な場合との両方を記入します。収入が減ったときや家族の誰か

が病気になったときのリスク管理(リスク対応のことで、これにはリスクの回避、低減、移転、受容、これらの

組み合わせ等があります)も検討します。家計を守るにはあらゆる状況を想定して万全の備えをすることで

す。

そこで記入したメモをみながら対処法をしばらく考えます。すぐには解決方法が浮かばないと思いますが、時

間をかけて家族みんなで考えると良いアイデアがでることがあります。(ブレーンストーミング、略してブレスト

という方法です) やがて解決すべき方法がいくつか浮かび上がってきます。家計の中で不要不急のものとし

て何があるかをよく検討しましょう。場合によっては自家用車を処分して健康のために自転車やウオーキン

グに移行しても良いかも知れません。また同じ保障なら生命保険を定期保険に変える方法もよく研究してみ

ます。 こういった過程で家計のムダを徹底的に洗い出し家計を再構築します。すなわち、わが家のキャッシ

ュフローの改善計画を作成します。ここで特に大きな支出の住宅費用ですが、賃借の場合はより安い物件を

探して引っ越すことも可能ですが、購入に伴う住宅ローンの場合はどうすれば良いでしょうか?


2.返済期間を延長するなど条件変更と借入金の整理

 家計リストラしても住宅ローンの返済が困難になったときの対処方法には次のような方法があります。

①.住宅ローンの金融機関窓口で返済計画見直しを相談する

②.多重債務の場合は相談機関を活用する

③.困難な場合は任意整理や特定調停の活用を検討する

④.個人再生手続きと住宅資金貸付債権に関する特則の活用を検討する

 各項目ごとに対処法を検討してみます。


 ①.住宅ローンの金融機関窓口で返済計画見直しを相談する

 住宅ローン以外に借入がなくかつ返済が困難な場合は、思い切って借入先の金融機関の窓口に、住宅ロ

ーンの返済計画の見直しの相談をしてみます。その際は返済計画見直しの理由、必ず返すという意志、家

計の改善プランについて、支店長宛の文書で説明します。説明が認められると返済期間を長くするなどの方

法により、一定期間は月々のローン返済額を少なくすることができます。デメリットは利息の支払総額が増額

することと一定期間経過すると月々の返済額が増加することです。 ただし住宅を手放さなくてもよいというメ

リットがあります。 子供が高校や大学を卒業するまでの間ローンを減額し、その後は家族の協力が得られ

る等により世帯収入が増加する場合に適する方法と言えます。


 ②.多重債務の場合は相談機関を活用する

 この方法は、住宅ローンが困難になって既に消費者金融などから借入をしている多重債務の場合です。利

息制限法の上限金利を超える場合の引き直し計算が必要になるなどの実務が必要になるため、相談機関

を活用されることをおすすめします。

 相談機関としては次の機関があげられます。

日本司法支援センター(法テラス

財団法人日本クレジットカウンセリング協会

・弁護士会や司法書士会

・弁護士、司法書士

 
 多くは以上の①と②で解決できるのではないかと思います。特定調停と消費者民事再生の住宅資金貸付

債権に関する特則は上記の相談機関で説明があると思います。

 参考までに制度の仕組みを簡単にご紹介します。

 
 ③.特定調停等の活用

 司法型ADR(Alternative Dispute Resolution)とも言われ「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関

する法律」という長ったらしい法令名の法律に基づいて運用されます。特色は、裁判所の関与により透明性

と公平性が期待できることと、手続きが簡易で費用廉価の点です。 国の報酬・費用の負担で調停委員によ

る調停条項の作成や利息の引き直し計算について積極的な手続き介入が期待できると言われています。


 ④.個人再生手続きと住宅資金貸付債権に関する特則

 住宅ローンのほかに消費者金融等の債務を多数かかえている場合は破綻状態にあります。このような場

合住宅ローンの抵当権を実行されると途端にマイホームを失います。そこで返済が遅滞する前に住宅ロー

ンについては返済期間の変更等により、例えば月額返済額を他債務の返済が終了するまでの一定期間は

少なくして調整したり、住宅ローン以外の債務については回収の極大化が期待できる場合は、権利変更を

みとめようとする手続きです。

 議決権者の決議と裁判所の認可を必要とするなどいろいろな要件が定められています。


   

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